コウメ太夫さん 息子のことを考えて2軒目、3軒目のアパート経営を

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コウメ太夫さん(芸人・49歳)

 2000年代にネタ番組「エンタの神様」(日本テレビ系)で女形の身なりと「チクショー!!」のフレーズで大ブレークし、最近はアパート経営で話題の芸人、コウメ太夫さん。大家への道のりと苦労、さらに老後や息子の将来も考えた多角経営(?)についても語ってくれた。

  ◇  ◇  ◇

 最初にアパートを買ったのは09年の6月くらいでした。その数年前は当時の嫁と息子とで家賃15万円くらいのマンションに住んでいたのですが、芸人として売れない頃からずっと面倒を見てくれたマネジャーが「人気のピークも過ぎてそろそろ仕事が減るから、実家に戻って、実家を真っ二つに割ってお母さんと暮らしたらどうだ?」と言ってくれたんですよ。

 実家はおふくろが一人暮らししていたから、半分に仕切って片方におふくろが住み、片方を僕らが住むという案。さらにマネジャーが「いずれは半分を賃貸にしたらどうか」と提案。

■5000万円で一棟買い

 おふくろに話してみると「ダメ」と叱られて。でも、そんな案を発端に「いずれは物件を買ってアパート経営するのもいいかもしれない」と家族で話し合いになったんです。それが大家になるきっかけ。結局、アパートを買った後に離婚してしまいましたが。

 約5000万円で売りに出ている西武池袋線の椎名町の2階建て新築物件を見つけました。

 駅から徒歩5分。試しに何度も行ってみると角地に立っていて近所にコンビニや公園もあり、何より建物の風情が気に入って「ここ買いたいなあ」と。

 不動産屋に問い合わせた時にはすでに3件の買い手の申し込みがあるとのこと。「お金を多めに入れた人を優先しますよ」と言われました。

 個人で買う人は普通はだいたい500万円か1000万円を最初に入れるらしいんですけど、僕は芸人として売れてる頃に貯めていた3000万円を入れられたので、僕に決めていただけました。ローンが2000万円。約30年ローンでした。

不動産の社長は僕のことを知らなった

 不動産の社長は僕のことを知らないので、「なんでこんな収入があるんだ?」と尋ねられて。「実はコウメ太夫です」と芸名を言うと、社長さんはやっぱり僕を知らない。でも、他のスタッフさんが知ってくれていて。芸人はなかなかローンが組めないけど、社長は昔に役者をやっていたらしく、芸能に理解があって購入させてくれたし、いろいろと親切にしていただきました。

 例えば、入居募集を始めた後、満室になるまでも「全室入居してるのと同じ額を振り込みます」と言っていただけたのでお金の心配がなくなりました。だから、賃貸経営は不動産の方との出会いも大切だと感じました。

 不動産とセットの管理会社から「こういう方が入居希望です」と連絡が来ますが、僕はすべてお任せして。うちは家賃6万円前後の2階建て全6室で、若い方が多いです。

■トラブルは1回だけ

 おかげさまで絶えず部屋が埋まってますし、過去にトラブルはないですね。1度、入居すぐに「クーラーがうるさい」と苦情が来て、僕も部屋まで確認に行きましたけど、一般的なクーラーの音。設置した電器屋さんも同行し、「通常こんなもんです」と言いましたが、その方は1週間で出ていってしまい、床に何かをひきずったようなとんでもない傷が……。それで少しモメて、結局は保険で賄ったのですが、過去のトラブルはその1回です。

 いい場所ですから、今売れば6000万円になるとかいろんな不動産会社から「売ってほしい」という声をよく聞きます。今、ローンが1400万円くらい残ってますから、「今売れば……」と思わず計算しちゃいますね(笑い)。でも、銀行さんからは「売ったらもったいない」と。

 それに現金に換えたらローンは払えても、ムダ遣いしちゃえばすぐなくなる。何より息子のためにアパートを残したいと思っているんです。芸能の仕事もいつまであるのかわからないですからね。

 この先はできれば2軒目、3軒目を持ちたい。僕のアパートは一人暮らし用ですが、椎名町といえば昔にマンガ家を夢見た若者が多く住んでいたトキワ荘がありました。ああいうアパートのように夢をかなえたい若者が一時期住むような場所になればいいと。多角経営ですね。そして、3軒経営なら3軒とも息子に残したい。それが死ぬまでの目標です。

■白塗りのイメージとかけ離れた怖い役も演じたい

 僕自身の夢は、芸能界に残りたい気持ちもあります。実は役者業に夢があるんです。ドラマ「ルパンの娘」にも出演させていただけたし、来年公開の時代劇の映画も撮影が終わり、このところ役者の仕事も入れていただいてます。

 芸人の白塗りのイメージとかけ離れた怖い役を演じたい。例えば映画「アウトレイジ」のような。それも心に秘めてるもうひとつの死ぬまでの夢です。こんな私ですが大家と役者の二足のわらじで頑張っていきたいです。

(聞き手=松野大介)

▽本名=赤井貴(あかい・たかし) 1972年4月、東京都出身。95年から芸能活動。お笑い芸人・小梅太夫としてブレーク。現在はアパート経営で注目される。

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