著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<78>R.フランクに下駄をプレゼント 息子みたいに可愛がってくれたんだよ

公開日: 更新日:

ロバート・フランク(2)

 ロバート・フランクはね、オレが前に住んでた“ウィンザースラム豪徳寺”に遊びに来てくれたんだよ(ロバート・フランクは1924年スイス生まれ、写真家を志して23歳で渡米。写真界の巨匠と称され、世代を超えて支持され続ける。2019年9月、94歳で死去。“ウィンザースラム豪徳寺”は荒木が1982年末から30年間暮らした世田谷区豪徳寺のマンション。マンションの広いバルコニーは荒木の「写場」となり、多くの写真が生まれた)。

 フランクが、なぜかメジャーをね、お土産に持ってきてくれたんだ。そのとき、バルコニーで撮った写真があるよ。じゃあ、ロバート・フランクの距離で撮ろうって、ふざけて距離を測って撮ったりしてね。オレはフランクに下駄をプレゼントしたんだ。その下駄を履いたフランクを撮ってるんだよ。フランクの足元にコップが転がってるだろ。彼の足元に、わざとビールをこぼしたんだよ。画面がおもしろくなるだろ。

わざとビールをこぼして…

 それと、猫だか犬だかわからないんだけど、フランク作のオブジェも持ってきてくれたね。重たいんだよ。それをお土産にって持ってきてくれて、「自分が作ったんだ」なんて言うから、泣かされちゃうわけだよ。ロバート・フランクは、オレを息子みたいに可愛がってくれたんだよ。

 フランクがさ、おもしろい写真を送ってきてくれたこともあるね。テレビ画面に写っている野球荒木大輔(当時ヤクルトスワローズ)の後ろ姿の写真でね。名前が「荒木」だから、ユニフォームの背中の名前が「ARAKI」だろ。背番号が「11」でさ。荒木大輔がバットを持ったユニフォームの後ろ姿が「ARAKI 11」なんだよ。フランクは、テレビを観てて、あっ、アラキだって思ってくれたんだね。「ナンバーワン」だって。いつも「アラキ、ナンバーワン」って言ってくれてさ、嬉しいよ。

(構成=内田真由美)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  2. 2

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  3. 3

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  4. 4

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が

  5. 5

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  1. 6

    人権救済を申し立てた国分太一を横目に…元TOKIOリーダー城島茂が始めていた“通販ビジネス”

  2. 7

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  3. 8

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    結局、「見たい人だけが見るメディア」ならいいのか? 「DOWNTOWN+」に「ガキ使」過去映像登場決定で考えるコンプライアンス

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑