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北島純映画評論家

映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹を兼務。政治映画、北欧映画に詳しい。

ゼレンスキー大統領の「文化外交」手腕 情報戦略のプロが“刮目ポイント”を解説

公開日: 更新日:

 今回のユーロビジョンにロシアは参加していない。侵攻直後にウクライナのオレクサンドル・トカチェンコ文化情報政策大臣らが主導した対ロシア「文化制裁」請願活動等の結果、主催者の欧州放送連合(EBU)がロシア排除を決定したからだ。それ以外にも、著名ロシア人指揮者ワレリー・ゲルギエフ氏がミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者から解任される等、文化芸術の領域でロシア排除が進んでいる。

 こうした動きの背景にあるのは、ウクライナによる巧みな情報戦略だ。ゼレンスキー大統領は、4月3日のグラミー賞式典にビデオメッセージ(写真)を送ったのに続けて、5月17日にはカンヌ映画祭開会式にビデオ通話で登場。チャップリンの名作映画「独裁者」を引き合いに、独裁者に対して声を上げる「新しいチャップリン」が必要だと呼びかけた。

■最先端の広報力を発揮

 これは「文化外交」(パブリック・ディプロマシー)と呼ばれている手法で、エンターテインメントや文化芸術に関する広報活動を通して自国のメッセージを送る外交活動の一つ。開戦当初から積極的な情報発信を続けて国民の士気を保つだけでなく、諸外国の共感を獲得しているゼレンスキー政権は、文化外交の面でも最先端の広報力を発揮している。エンターテインメントの政治利用はプロパガンダに転化する危険性もあるが、ゼレンスキー大統領が放つメッセージから目が離せない。

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