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伊藤さとり映画パーソナリティー

映画コメンテーターとして映画舞台挨拶のMCやTVやラジオで映画紹介を始め、映画レビューを執筆。その他、TSUTAYA映画DJを25年にわたり務める。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。レギュラーは「伊藤さとりと映画な仲間たち」俳優対談&監督対談番組(Youtube)他、東映チャンネル、ぴあ、スクリーン、シネマスクエア、otocotoなど。心理カウンセラーの資格から本を出版したり、心理テストをパンフレットや雑誌に掲載。映画賞審査員も。 →公式HP

背中で語るトム・クルーズ…「トップガン」最新作は世代を超えるか

公開日: 更新日:

 ネット社会になり、世代間の溝が広がっている現代社会。私も含め、「あの頃はこんなだった」と言いがちでウンチクを披露したがる年配者は、“映画を早送りで見る若者”にはウザがられるに違いないのです。だって調べればある程度のことはネットで分かってしまうし、いちいち聞く必要もないのだから。

 きっと世界のスター、トム・クルーズ様もそれを承知の上で『トップガン マーヴェリック』を往年ファン以外の心にどう訴えるか、考えたことでしょう。

 デビューして数本出演した後、フランシス・フォード・コッポラ監督の『アウトサイダー』(1983年)で主演のマット・ディロンの横で筋肉美が印象的なメンバーのひとりを演じ、その後の『卒業白書』(同)で初体験に夢見る主人公の初々しい魅力から注目されたトム・クルーズ。

 そんな彼の人生を変えたのが1986年公開の『トップガン』であり、映画の大ヒットと共に一躍世界に名を轟かせることになります。そこからは飛ぶ鳥を落とす勢いでアクション映画、社会派ドラマとヒット作を連発。今年の7月には60歳を迎えるビッグスターが、自らプロデューサーもかって出て続編を本格始動させた『トップガン マーヴェリック』が36年の時を経て遂に全世界公開になるのです。

■あの頃の若者、そして今の若者…一石二鳥狙う『マーヴェリック』の戦略

 当時、トム扮する主人公マーヴェリックがかけていたレイバンのサングラス(アビエイター)はもちろん、フライトジャケットは、キムタク(木村拓哉)も映画に興奮して購入したほどの人気商品に。乗っていたバイクKawasakiのNinjaのお陰でバイクも流行り、サウンドトラックもバカ売れした80年代。間違いなくその当時、青春だった今おじさま、私のようなおばさまは映画館へ号泣しに行くのは目に見えていただろうし、そこを満足させながらどうやって若者にアプローチするんだろう?

 そこで前作もプロデューサーを務めたヒットメーカー、ジェリー・ブラッカイマーら製作陣が出した結論は、ずばりジャッキー・チェンの『ベスト・キッド』方式という大道の師弟関係であり、更には『踊る大捜査線』のような生涯現役の青島がトム、出世し幹部になる室井さんが当時、良きライバルだったアイスマンことヴァル・キルマー、彼らが一作目で命を落とした親友グースの息子を成長させるという設定。

背中で語るマーヴェリック(トム・クルーズ)に胸打たれる

 次世代を担う俳優たちを起用し、指導者としてトム扮するマーヴェリックがトップガンチーム育成の任務に就く物語では、若者たちの話に入れずにカウンターで彼らを見つめるマーヴェリック、若者たちによりお店から追い出されるマーヴェリック、おじさん扱いされるマーヴェリック、と現実を突きつけるシーンに苦笑い。それでもマーヴェリックは彼らの才能を引き出す為に、教科書に載っていない「背中を見せる」実践的教育を選びます。

 まさに80年代若者だった私たちに後輩たちとの付き合い方を見せるように熱く胸打つシーンばかり。しかも前作を見ていない人の為に、ドラマのように当時の映画のワンシーンを回想シーンとして導入させている親切設計! 親子で見るのには特に満足度の高い映画である『トップガン マーヴェリック』。果たして新たなファン獲得なるか? 期待は膨らむばかりです。

【連載】伊藤さとり「シネマの出来事、シネマな人たち」

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