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北島純映画評論家

映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹を兼務。政治映画、北欧映画に詳しい。

映画で理解するLGBTのリアル 日本は「歌舞伎」「宝塚」で性の多様性を受け入れてきた

公開日: 更新日:

 主人公は1926年のコペンハーゲンに住む画家夫妻。夫アイナー(エディ・レッドメイン)は女装を機に自らを女性として認識しリリーと名乗るようになるが、世間の目は冷たく「障害」として扱われる。妻ゲルダも当初は好意的だったが夫の性的アイデンティティー(自己同一性)の比重が女性に移るにつれて動揺を抑え切れない。

 自分が愛する相手は男性か女性か。戸惑うゲルダだが、やがて一人の人間としてリリーを愛し、社会的偏見にひるまず、その「性の転換」を応援するようになる。1931年に世界で初めて性転換(性別適合)手術を受けた実在のデンマーク人画家をモデルとする美しくも悲しい物語が静謐に描かれる。妻ゲルダの心の変化を繊細に演じたアリシア・ビキャンデルはアカデミー助演女優賞(16年)を獲得した。

 これに対して現代のNYを舞台とするのがゲイビー・デラル監督「アバウト・レイ16歳の決断」(15年)。エル・ファニング演じる「レイ」は男性ホルモン投与を切望するトランスジェンダーの高校生だが、両親の同意サインをなかなか得られない。

 母親(ナオミ・ワッツ)は奔放なシングルマザー、祖母(スーザン・サランドン)はレズビアン。一口にLGBTと言ってもその内実はさまざまで、世代差もある。父親が不在である事情も複雑だ。多元化した性と家族の在り方を理解することは彼女らにとっても簡単ではない。

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