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北島純映画評論家

映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹を兼務。政治映画、北欧映画に詳しい。

映画で理解するLGBTのリアル 日本は「歌舞伎」「宝塚」で性の多様性を受け入れてきた

公開日: 更新日:

 しかし紆余曲折の末に同意書のサインを得たレイがベッドの上を跳びはねて喜ぶ姿は、「性の多様性を理解する」ということは結局のところ「一人の人間の生をいかに尊重するか」に帰着するということを教えてくれる。

■「線引き」に依拠した制度と慣行が「揺らぐ」ことへの懸念

 トランスジェンダーを巡っては昨今、「女性を自認する男性」による女性スポーツ競技参加の是非や、公衆トイレや浴場あるいは女性刑務所等での性犯罪を懸念する声が上がっている。4月に開業した東急歌舞伎町タワーの「ジェンダーレストイレ」は大きな話題になった。生物的な男性・女性の間で一線を画する「線引き」に依拠した制度と慣行が「揺らぐ」ことへの懸念と警戒が背景にあろう。

 しかし日本はもともと性の多様性を柔軟に理解する文化を持つ国だ。受け継がれてきた歌舞伎や宝塚という芸術文化は世界に誇るべきものであり、そこでは男性が女形を、女性が男役を演じる。いずれも男女の線引きを越境した演技でありトランスジェンダー芸術の先駆とも言える。

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