急死のryuchellさんは「多様性の時代の寵児になれた人」と業界関係者…離婚後も続いた葛藤と心ない誹謗中傷

公開日: 更新日:

「あたらしい家族の形」模索していた

「原宿の古着屋の人気店員として注目を浴び、かつてはバラエティーやネットの番組でのリアルなコメントが注目され、『ジェンダーレス男子』の先駆け的ないまどきの若者の代弁者として持ち上げられました。バラエティー番組ではそれを笑って受け止めていましたが、心の中は違う葛藤が生じていたのかもしれません。好奇な見られ方をされると仕事もそれよりになっていく。芸能界ではよくあることなのですが、そういう変化に戸惑った可能性もあるのでは。SNSではryuchellさんを誹謗中傷するコメントも多かったです」(前出の関係者)

 現在のところ遺書もなく、自殺を選んだとしても、その動機は故人となった今、聞くすべもない。臆測ははばかられるが、業界歴の長い芸能関係者は「時代の寵児になれた可能性があるのに惜しい」とこう言う。

「一家心中事件を起こした市川猿之助の動機として、男性へのセクハラ報道が一因とされているのと近いものもあるかもしれない。猿之助のときも思ったものですが、氷川きよしのようにカミングアウトしてしまえば、ちがう世界も広がったのではないでしょうか。それによる悩みも語っていくことで、結果的に世間の理解を広めることだってできる。そういうポジションはあったはずです」

 大手広告代理店出身のプロデューサーはこう言う。

「広告業界の目線で見ると、性的マイノリティーは時代的にニーズが増える要素ではあります。ryuchellさんの場合、コメントも鋭く、司会もできた上、まだ若く、性的マイノリティーを超えたタレント性を兼ね備えていた。惜しむべきは、pecoさんと婚姻関係を解消後も親子3人で同居し、あたらしい家族の形を築くというそのあたらしさが、よく見えなかったこと。独立し、個人事務所になっていましたけど、どこかの事務所に所属して彼らの考え方を伝えてくれる存在になれば希少なキャラだけに、いろんな仕事やCMのオファーがあったはずです」

 沖縄出身のryuchellさんの本名は比嘉龍二さん。享年27。多くの可能性や才能を秘めたまま、旅立ってしまった。

  ◇  ◇  ◇

■厚生労働省のホームページで紹介している主な悩み相談窓口

▽いのちの電話

 0570-783-556(午前10時~午後10時)

 0120-783-556(午後4~9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)

▽こころの健康相談統一ダイヤル

 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)

▽よりそいホットライン

 0120-279-338(24時間対応)

 0120-279-226(岩手、宮城、福島各県から、24時間対応)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    阪神球団内外でジワジワ広がる“岡田包囲網”…掛布雅之氏、福本豊氏も「異議あり!」

    阪神球団内外でジワジワ広がる“岡田包囲網”…掛布雅之氏、福本豊氏も「異議あり!」

  2. 2
    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  3. 3
    プロ初2ケタ勝利の西武・今井達也が語る“5.9にキレた”理由 降板後にベンチでブチ切れ

    プロ初2ケタ勝利の西武・今井達也が語る“5.9にキレた”理由 降板後にベンチでブチ切れ

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    用意する資金は青天井! 名門ヤンキースが朗希獲得でドジャースへの“リベンジ”画策

    用意する資金は青天井! 名門ヤンキースが朗希獲得でドジャースへの“リベンジ”画策

  1. 6
    協会の強硬姿勢が招いた「15大会消滅」の危機…杜撰なツアー改革構想が女子プロの職場を奪う

    協会の強硬姿勢が招いた「15大会消滅」の危機…杜撰なツアー改革構想が女子プロの職場を奪う

  2. 7
    万博スタッフに「時給2000円」大盤振る舞いの裏で…“格差拡大”に涙を飲む大阪府非常勤職員

    万博スタッフに「時給2000円」大盤振る舞いの裏で…“格差拡大”に涙を飲む大阪府非常勤職員

  3. 8
    西武・今井達也“堪忍袋の緒”はブチ切れ寸前? 好投まったく報われずメジャー志向は増す一方

    西武・今井達也“堪忍袋の緒”はブチ切れ寸前? 好投まったく報われずメジャー志向は増す一方

  4. 9
    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 10
    藤川球児氏が岡田監督に「モノ申した」不穏…阪神球団内でも指揮官への“逆風”強まる

    藤川球児氏が岡田監督に「モノ申した」不穏…阪神球団内でも指揮官への“逆風”強まる