街裏ぴんく、芸人として苦節20年…R-1を制した唯一無二“虚無漫談”の裏側に迫る【特別インタ前編】

公開日: 更新日:

ウケるために理想の芸を封印

 ──R-1グランプリで過去3年間設けられていた芸歴制限が、今回撤廃。参加資格が奪われていたぴんくさんにとっては、追い風であると同時にプレッシャーでもあったと思います。

 もう絶対に優勝しなければと思ってましたね。年下の子らが日々ライブに誘ってくれて。でも、毎回1番に近いウケ方をしないとインディーズライブにはもういづらいんですよ。新しい才能が出続ける環境で“地下の帝王”で居続けるのは大変ですが、それを錦鯉さんはやっていた。あの2人が、「爆笑取り続けるんならここにおってもいいよ」って背中で表してくれて、ほんまに勇気になりました。錦鯉さんを間近で見ていたから、僕ももう今回しかないという気持ちでしたね。

 ──普段は10~15分、最長では驚異の1時間45分ノンストップで1本のネタをされたことがあります。対してR-1の制限時間は4分。舞台も客層もすべての環境が普段と違いました。

 理想の笑いは封印しましたね。「着替えてきたルシファー吉岡です」っていうネタの入り方も、しゃべりの語気の荒らげ方も、初見の人に伝えるために取り入れました。フォームなんか気にせずに、その日にウケていたいんですよ。僕は人と違う芸をしているから、“天才”とか“芸術”とか言われて特別視されることがあるんですが、そこには逃げたくなくて。とにかくウケたいだけで、そのためには何でもします。R-1の勝ち方があるなら、とにかくウケたいという気持ちを忘れないことじゃないですかね。精神論ですが(笑)。 =つづく

(聞き手=橋爪健太/日刊ゲンダイ

▽まちうら・ぴんく 1985年2月6日生まれ、大阪府出身の39歳。トゥインクル・コーポレーション所属。主な受賞は「Be-1グランプリ2022」優勝。「R-1グランプリ2024」優勝。7月23日に大阪、7月24日に名古屋、8月5日に東京で、澤部渡(スカート)×街裏ぴんく異種混合ツーマンライブ「VALETUDO QUATRO 2024」を開催。チケットは各プレイガイドで好評販売中。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  4. 4

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  5. 5

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  1. 6

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  2. 7

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 8

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも