「南の島」「座らない」「催眠術」 高倉健さん没後10年…数々の“不器用伝説”の真相に迫る

公開日: 更新日:

 またそこから映画人の中で、別の伝説も生まれた。「健さんは映画の初日、南の島で過ごしている」というもの。これは確証がないが、ひとつの映画の撮影が終わると、自分の中から演じた役を抜くために、旅に出ることが多かった高倉だけに、どこか旅の空で映画の初日を迎えていたことは想像がつく。

「撮影現場では、絶対に座らない」という伝説もある。いやこれは、ビートたけしをはじめ、多くの共演者が証言してるので、もはや伝説ではなく事実。私も「鉄道員」の現場で目撃したが、撮影するスタジオの中には高倉専用の椅子がいつも用意されているのだが、それに座ったことは一度もない。彼の場合、その日に撮る簡単な芝居の流れを決めたら大体が一発本番で、よほどのことがない限り2度同じシーンをやることがない。一回の芝居に気を込めようと現場に入ってくるので、椅子に座って休憩することがないのである。ちょっと気を抜いて演じられる和やかなシーンを撮る日でも、現場のスタッフと笑いを交えて話しながら、いつも現場では立っている。一度の芝居に懸ける意気込みが、そこには表れているのだ。


高倉健は、催眠術が得意」という伝説もある。これは高倉本人から聞いたことだが、昔ある撮影で休憩中、スタッフに催眠術をかけて、本番が始まったときに高倉が合図を送ると、そのスタッフがとんでもない行動に出たことがあったという。それは現場の雰囲気を和ませるためのちょっとしたいたずらで、スタッフたちもそんな高倉の人柄を愛した。彼によれば、「自分の催眠術の先生は、丹波哲郎さんなんだよ」と言っていた。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  4. 4

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 5

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  1. 6

    参院選で公明党候補“全員落選”危機の衝撃!「公明新聞」異例すぎる選挙分析の読み解き方

  2. 7

    「愛子天皇待望論」を引き出す内親王のカリスマ性…皇室史に詳しい宗教学者・島田裕巳氏が分析

  3. 8

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 9

    松岡&城島の謝罪で乗り切り? 国分太一コンプラ違反「説明責任」放棄と「核心に触れない」メディアを識者バッサリ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒