“夢の薬”が変えたアメリカ人の「体」と「心」…肥満王国返上か?
アメリカで今、最も社会を揺るがしている薬が「オゼンピック」です。元は糖尿病の治療薬ですが、食欲を抑える作用が注目され、「痩せる薬」として瞬く間に広まりました。その影響は医療の枠を超えています。
オゼンピックなどのGLPー1受容体作動薬(ウェゴビー、マンジャロなど)を使用する人は2019年から23年の4年間に実に7倍に増加しました。その多くが「痩せるため」で、セレブやインフルエンサーが次々と使用を公言、TikTokには「夢の薬」と称える動画があふれています。つい最近、コストコなどの量販店でも、販売を開始するというニュースが流れました。
アメリカ人は人口の4割が太り過ぎ(BMI30以上)、1割が内臓疾患や高血圧などの原因となる肥満症(BMI40以上)ですが、昨年末の調査では、その肥満症がわずかながら、過去10年間で初めて減少しました。これも同薬の普及によるものと考えられています。
それ以上に興味深いのは文化への影響です。リセール(中古)市場では「大きめサイズの服」の出品が急増し、外食チェーンでは「オゼンピック利用者向けメニュー」と銘打った「少食」メニューも登場しています。


















