著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

「BMIが25で肥満」は誤り? 病気との関連を調べた新研究

公開日: 更新日:

 健康診断で身長と体重を測定すると、もれなく「BMI」という数値が計算され表示されます。これは、キログラムの体重を、メートルの身長で2回割り算して得られる数値で、「体格指数」などと呼ばれることもあります。この数値が22~23くらいが、最も生活習慣病などが少ないとされていて、25以上が肥満、25以上で血圧が高いなど病気の兆候があれば、治療の必要な「肥満症」と呼ばれます。

 ただし、これは日本だけの基準です。国際機関のWHOは、BMI25以上は過体重、30以上が肥満と決めています。つまり、国際的には肥満ではなく「ちょっと太り過ぎ」というくらいのBMIが、日本では肥満と呼ばれているのです。

 この基準になっているのは1995年に取られたデータで、それによると主な病気のリスクはBMIが25でほぼ倍になっていました。しかしこれは、30年前の研究結果なのです。この30年で日本人の体格や栄養状態は大きく変わっています。BMIの基準も見直すべきではないのでしょうか?

 今年の代謝学の専門誌に、京都府立医科大学などの研究者による、新しいBMIと病気との関連を調べた研究結果が発表されています。それによると、30年前とほぼ同様の結果もある一方で、心臓病脳卒中などのリスクは、BMIが30を超えないと倍にはなりませんでした。

 BMIが25で肥満という日本基準は、今後、見直される可能性もありそうです。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木麟太郎をドラフト指名する日本プロ球団の勝算…メジャーの評価は“激辛”、セDH制採用も後押し

  2. 2

    日本ハム新庄監督がドラフト会議出席に気乗りしないワケ…ソフトB小久保監督は欠席表明

  3. 3

    ヤクルト青木“GM”が主導したバランスドラフトの成否…今後はチーム編成を完全掌握へ

  4. 4

    吉村代表こそ「ホント適当なんだな」…衆院議席3分の1が比例復活の維新がゾンビ議員削減と訴える大ボケ

  5. 5

    吉村代表は連日“ドヤ顔”、党内にも高揚感漂うが…維新幹部から早くも「連立離脱論」噴出のワケ

  1. 6

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 7

    ブルージェイズ知将が温めるワールドシリーズ「大谷封じ」の秘策…ドジャース連覇は一筋縄ではいかず

  3. 8

    高市政権は「安倍イタコ政権」か? 防衛費増額、武器輸出三原則無視、社会保障改悪…アベ政治の悪夢復活

  4. 9

    今秋ドラフトは不作!1位指名の事前公表がわずか3球団どまりのウラ側

  5. 10

    亀梨和也気になる体調不良と酒グセ、田中みな実との結婚…旧ジャニーズ退所後の順風満帆に落とし穴