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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

NHK「サラメシ」最終回 14年間“ランチの数だけ物語があった”

公開日: 更新日:

 先週13日、「サラメシ」(NHK)が最終回を迎えた。スタートは2011年5月。サラリーマンの昼食にスポットを当てるというコンセプトも、中井貴一のナレーションも新鮮だった。

 メインのコーナーは「〇〇に昼が来た!」。企業や個人の昼食を軸にしながら、仕事ぶりや家族とのつながりも紹介していた。他に視聴者からの投稿コーナー「みんなのサラメシ」などが並んだ。

 中でも番組名物とも言えるのが「あの人が愛した昼メシ」だ。今は亡き著名人が愛した品々を取り上げ、その人の歩みや人柄にも触れていく。

 いくつか記憶に残る人とメニューがある。名優・笠智衆が大好きだった北鎌倉「光泉」のいなりずし。淀川長治が試写会の帰りに立ち寄った赤坂「うなぎ奈加川」のうな重。松本清張が足しげく通った西荻窪「こけし屋」のポークカレーなどだ。ぬくもりのある〈素顔の人物伝〉になっていた。

 最終回には沖縄・首里城の再建に携わる漆職人や、小豆島で昔ながらの醤油造りに励む職人らが登場。最後だからと特別な趣向を施さず、いつも通りに徹していたことに美学を感じる。14年間、制作してきたのはテレビマンユニオンだ。

 エンディングのナレーションは「昼ご飯の番組なんて続かないと言われましたが、僕らは信じてみました。ランチの数だけ物語はあるはずだと」。まさにその通りだった。

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