今年の「團菊祭」では團十郎・菊五郎それぞれが本領発揮、新時代の幕開けを高らかに宣言
歌舞伎座の5月は毎年、團菊祭。今年は8代目菊五郎とその子.6代目菊之助の襲名披露公演なので、大盛況。開場前から歌舞伎座の前は人であふれ、筋書き売り場には長蛇の列ができていた。
13代目團十郎襲名から2年半、同世代の團・菊がここに揃い、新時代の幕開けにふさわしい熱気と華やかさに満ちた舞台を見せる。
8代目菊五郎としての初舞台は『勧進帳』の富樫だ。主役は市川團十郎の弁慶なので、その相手役で菊五郎としての役者人生を始めたことになる。これからも、團・菊で歌舞伎を盛り上げていきたいとの姿勢の現れだろう。その思いを受けて、團十郎は自分の襲名のとき以上のパワフルな弁慶で、自在にスウィングする。歌舞伎座の広い舞台が狭く感じられるほど。そのすさまじい弁慶を相手に、菊五郎の富樫は振りまわされることなく、冷静に立ち向かう。舞台は一秒も弛緩しない。
間に一演目あって、次が菊五郎と菊之助の親子に、坂東玉三郎が加わった『京鹿子娘道成寺』。3人、2人、ひとりずつと、組み合わせを変えながら大曲は進んでいく。三人揃うときはピタリと合わないが、そのずれがかえって美しい。