「ダブルインパクト」ニッポンの社長、優勝の瞬間がエモかった。ロングコートダディとの深い関係
7月21日(月・祝)に放映された新たなお笑い賞レース「ダブルインパクト」(日本テレビ系)。コントと漫才の両方で審査され、No1の二刀流芸人を決めると銘打たれたこのコンテストは、ニッポンの社長の優勝で幕を閉じました。そのニッポンの社長との関係が深い芸人コンビもまた、「ダブルインパクト」に出場していました。
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優勝の瞬間は自他ともに認める「エモい」光景
ニッポンの社長は辻皓平とケツが2013年に結成した吉本興業所属のコンビです。「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)では準決勝進出4回、「キングオブコント」(TBS系)では現在5大会連続決勝進出中の実力派で、元々は大阪のよしもと漫才劇場で活躍していましたが、2023年に上京、現在は渋谷よしもと漫才劇場に所属しています。
ちなみに同じタイミングで大阪から上京したのが、紅しょうが、マユリカ、そして、今回共に優勝を争ったロングコートダディです。
優勝決定の瞬間、互いに力が抜けたように崩れ落ち、辻さんが相方・ケツさんと抱き合った後にロングコートダディ・堂前さんと抱き合った光景は、大阪時代から共闘・切磋琢磨してきたのを見守ったファンからみればエモいという言葉で片付けられないほど胸が熱くなりました。
その後、兎さんが加わって、ケツさんが仲間外れにされるという様子も、この4人の仲ではお約束の光景でそれも微笑ましい光景でした(ちなみに、上京するかどうかの相談を辻、兎、堂前のみで行い、ケツさんは外されていたりするなど、ケツさんはことあるごとに除け者イジりをしています)。
コント不遇の大阪で切磋琢磨してきた同志
「M-1グランプリ」が盛り上がるにつれて、令和の漫才ブームも盛り上がってゆき、吉本興業の若手が舞台に立つ常設劇場の多くが“漫才劇場”と称するようになりました。
“漫才劇場”と名がついてもコントは禁止というわけではなく、コントを中心にやっているコンビもいますが、かつて大阪の難波にある「よしもと漫才劇場」では、非公式にコント禁止令が出ていたといいます。
そのコント迫害と呼ばれるような環境の影響で、男性ブランコなどコントを得意とする大阪のコンビの多くが東京に拠点を移すようになったとか。
そんな漫才主軸の街・大阪で漫才をやりながらも、隠れキリシタンの如くコントを頑張ってきたニッポンの社長、ロングコートダディ、そして3位に入ったセルライトスパです。この3組は、「関西コント保安協会」なるユニットを2019年に結成しています。
「僕たちが関西のコントを守る。」という合言葉
「僕たちが関西のコントを守る。」という合言葉の元、ユニットライブのみならず2021年にはABCテレビにて番組となり放映されました。上位3組がこのユニットで独占されたことに対して、「3組の戦い、痺れたわー」「関西コント保安協会が強すぎる」などとSNSでも歓喜の声が多数。
大会終了後には3組で打ち上げする様子が投稿され、その繋がりの強さも見られました。
中でも、ニッポンの社長・辻さんとロングコートダディ・堂前さんは、互いにファニーな相方を持つ長身、ネタ作り担当など、多くの共通点があります。
劇場メンバー入りする前から大阪のインディーズライブで少ない観客の前で共に舞台に立ち、引越しの手伝いをし合い、互いに秀才(堂前さんについて)、鬼才(辻さんについて)と認め合う仲。
以前、テレビ朝日のYoutubeチャンネル『動画、はじめてみました』で配信されたトーク番組『#焚き火で語る』では、ふたりが恋愛観や性格、ネタの考え方をリラックスして語り、悪い部分も指摘している姿に互いの強い関係性を垣間見ました。
そこには、べたべたしているわけでも、熱いわけでもないが、尊重しあっている大人の繋がりがありました。今は消えてしまいましたが、この機会だからこそ再配信をしてもらいたいものです。
シソンヌとチョコプラのようになる?
かつて「キングオブコント2014」で、養成所同期同志で仲がいいチョコレートプラネットとシソンヌが優勝を争い、シソンヌが優勝したということがありました。紆余曲折はありながらも、現在は互いにテレビやCM、舞台で活躍する売れっ子同士です。
今回のダブルインパクトのニッポンの社長とロングコートダディの2組は、背景も含め、その戦いを思わせるものがありました。現在、実績は残しながらもまだ発展途上な2組。シソンヌとチョコプラのように、数年後にはお互い売れっ子になっていくのは間違いないでしょう。
過程を見守っていくのもこれからの楽しみです。
(小政りょう/ライター)