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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

誰が勝ったか分からない、不思議な日本のテニス報道の背景…専門誌は1誌になったが、悲観することもない

公開日: 更新日:

 今年のウィンブルドンは興味深かった。

 男子はイタリアのシナー、女子はポーランドのシフィオンテクが初優勝。獲得賞金は300万ポンド、円安も手伝い約6億円である。

 1日前の女子決勝のレートでは、シフィオンテクの方が200万円多い5億9700万円だった。そのスコアは大会史上初の6-0、6-0で試合時間57分。1分=1047万、1秒=17万4500円、そんな計算に意味はないが……。

 それにしても、日本のテニス報道は不思議だ。「シナー ついに聖地を制覇」と新聞1面を飾ってもよいが、ベタ記事で片付けてもいい。朝日新聞がそうだった。4回戦で「ディミトロフ、無念の幕切れ」と堂々の写真付き4段。かつて“ベビー・フェデラー”と呼ばれた34歳を知る読者はかなりのテニス通だが、扱いは縮んで決勝は見出しもなかった。

 時差、休刊日、テニスの試合時間、広告の関係もあるだろう。ただ、テニス報道は常にかようにアンバランスである。

 大会は通常、月曜に始まり日曜に終わる。ラウンドが進んで盛り上がるにつれ新聞の扱いは縮小し、最後は誰が優勝したか分からない……週末は他競技も行われ紙面が混む。

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