「それ以上でも以下でもない」結婚を“合理的”に決める40歳男性の計算。物価高を乗り切るためには正解?
単純に家が欲しい
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「うーん、単純に家が欲しいから。それだけですね。最近、都心を中心に物件の価格がものすごく上がっているじゃないですか。
ちょっと前までは、家が欲しくなったら俺がローンを組んで買えばいいと考えていたんです。でも、今の価格だと、ペアローンじゃないと欲しい物件を買うのは厳しいんですよね。
俺らはずっと同棲のままでいるつもりだったのですが、ここまで物件の価格が上がると、そんな悠長なこと言っていられませんよね」
不動産だけでなく、あらゆる物価が上がっている現状も、カズマさんが法律婚を考え始めた理由だと言います。
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本音は同棲のほうがいいけれど
「マイホームもそうですけど、ここまで経済的な見通しが不安定だと、同棲という曖昧な関係より、法律婚のほうが安心かなって。
まあ、具体的に、どんな制度に対して法律婚のほうが有利なのかは調べていないですけど。イメージっていうのかな、仕事をするうえでも、家庭があるほうが良さそうじゃないですか」
もしも経済的に余裕があり、将来も楽観視できるならば「むしろ同棲生活のままがいいと思う」と、本音を漏らします。
一馬力より二馬力がいいのに
「8年前は、結婚なんて絶対にしたくなかったし、麻里奈も同じだったと思います。
麻里奈は『今さら結婚なんて。同棲のままがいい』って言ってますけど、過去には彼女だって法律婚を望んでいました。それなのに、乗り気じゃないなんて…。
この物価高時代、一馬力よりも二馬力のほうが心強いに決まっているのに。わかってないですよね。
まぁ、ちょっと冷たい言い方かもしれないですけど…。今の俺らにとっては法律婚を選択したほうが“合理的”だと判断したから、プロポーズしたんです。ぶっちゃけそれ以上でも以下でもないんですよ」
もしも麻里奈さんが、このまま求婚に同意しなければ、ふたりの関係は壊れていくとカズマさんは断言します。
「そうならないためにも、まぁあと数カ月は待ちますけどね。それでも麻里奈が『うん』って言わなかったら、その先の俺たちがどうなるかは…、正直言って良い未来は描けないですね」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)