【追悼】仲代達矢さん「狂気と正気の狭間で」生き抜いた92年…最愛の母と愛妻と愛弟子たちと“真っ白な灰”になるまで
「(俳優業を)立ち止まると、ここが回らなくなると思うんです」
90代になっても、無名塾の看板役者であることに変わりはない。
「(お弟子さんのためなら)ここ(無名塾)を売っ払ってしまってもいい」
そうボソっとつぶやいたのを覚えている。その最期も、次の舞台へ向けた稽古をはじめたところだったらしい。
無名塾の煉瓦の壁には銅板が埋め込まれていて、仲代さんのこんな言葉が刻まれている。
《若きもの 名もなきもの ただひたすら 駈けのぼる ここに青春ありき 人よんで無名坂》
(長昭彦/日刊ゲンダイ編集委員)
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まだコロナ禍だった2022年、仲代達矢さんは俳優生活70周年を迎えた。関連記事【もっと読む】仲代達矢89歳「役者人生70周年」赤秋の境地…コロナ禍は無名塾の稽古場でひとり汗を流す…では、生前の本人が語っていた演技への思いについて伝えている。


















