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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

「虎に翼」スピンオフ「山田轟法律事務所」戦後史を新たな角度から照らす、骨太の人間ドラマ

公開日: 更新日:

 2024年度前期の連続テレビ小説「虎に翼」(NHK)。そのスピンオフドラマ「山田轟法律事務所」が20日に放送された。主人公は伊藤沙莉が演じた佐田寅子ではない。寅子と一緒に大学で法律を学んでいた、山田よね(土居志央梨)だ。

 貧しい生い立ち。親に売られそうになった少女時代。群れることを嫌い、寅子たちとも時に対立した。ずっと変わらないのは、女性が搾取される社会に対する強い怒りだ。

 物語の舞台は戦後の混乱期。よねは、姉・夏(秋元才加)を含め、体を売ることでしか生活をつなげなかった女性たちの現実を知っている。また、国籍や出自をめぐる差別を受けた人たちとも向き合っていく。

 これらは朝ドラ本編では扱いきれなかった領域だ。しかし、よねの人生を通すことで、「なぜ彼女は法を学び、弱い立場の人を守ろうとしたのか」という動機の背景が鮮やかに浮かび上がる。

 ドラマ全体を貫くのは「すべて国民は、法の下に平等である」と記した憲法14条への揺るぎない敬意だ。よねは、その条文を理念ではなく、人がよりよく生きるための武器として受け取っていく。土居も、よねの堅さ、警戒心、その奥に潜む優しさなどを過剰な説明なしに表現して見事だった。

 脚本は本編と同じ吉田恵里香だ。単なるスピンオフを超え、戦後史を新たな角度から照らす、骨太な人間ドラマとなった。

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