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松生恒夫医学博士

昭和30(1955)年、東京都出身。松生クリニック院長、医学博士。東京慈恵会医科大学卒。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、治療効果を上げている。近刊「ビートルズの食卓」(グスコー出版)のほか「『腸寿』で老いを防ぐ」(平凡社)、「寿命をのばしたかったら『便秘』を改善しなさい!」(海竜社)など著書多数。

退廃的な生活を送っていたリンゴが80歳を超えて健在な理由

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 リンゴ・スターは1940年7月7日生まれ。あと3カ月ほどで満81歳になります。そのリンゴーの新作EP「ズーム・イン」がリリースされました。

 このEPの1曲目に収められている「ヒアズ・トゥ・ザ・ナイツ」には、ゲストシンガーとしてポール・マッカートニーやイーグルスのギタリストであるジョー・ウォルシュなどが参加しています。リンゴの健在ぶりを知るにつけ、ファンとしてはうれしい限りです。

 このコラムですでに述べていますが、リンゴ自身は子どもの頃から比較的、病弱でした。少年期には、虫垂の破裂によって腹膜炎を発症し数カ月もの入院を余儀なくされたり、肋膜炎を患ったりしています。ビートルズのメンバーになってからも、何度か入院生活を送っています。40歳を過ぎた頃には、アルコール依存症治療のための入院も経験しています。

 そのリンゴが、英国男性の平均寿命である79歳を過ぎてなおミュージシャンとして活動している理由は、どこにあるのでしょうか。

 さまざまな医学的調査からわかることなのですが、「抗加齢(アンチエイジング)」のために欠かせない条件として、3つの要素が挙げられます。それは①カロリー制限②抗酸化③腸内環境改善です。私は腸の専門医として医療に長年従事してきましたが、特に注目したいのは③の腸内環境の改善です。米国のある調査では、腸が健康である人は、慢性便秘など腸の不調を抱えた人よりも長寿であるという報告がなされています。

 1980年代、リンゴは退廃的な生活を送ったことにより、アルコール依存症をはじめ健康を害する経験をしました。しかし、アルコール依存症患者の更生施設での療養を経て、89年にカムバックします。その後、彼なりのペースで音楽活動を展開、日本もたびたび訪れ、これまで5回の日本公演を行っています。

 80歳を過ぎても途絶えることのないリンゴの地道な音楽活動の背景には、食を中心とした生活スタイルの大転換があったと私は考えます。ジョージ・ハリスンの影響もあり、ジョン・レノン、ポール・マッカートニーはインド訪問などを通じて、菜食主義に傾いていきますが、リンゴは彼らに比べて菜食主義を選択することには消極的だったといえるかもしれません。

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