『恋をするなら』分厚いコーラスと米国の若い音楽家との共鳴が響き合う
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アルバム『ラバー・ソウル』(1965年12月3日発売)⑦
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■『恋をするなら』
原題は「イフ・アイ・ニーディッド・サムワン」。いわゆる「仮定法過去」で邦題は直訳。
ちなみにアルバム『ハード・デイズ・ナイト』収録『恋におちたら』(イフ・アイ・フェル)も、もちろん仮定法過去。
では、仮定法過去完了は? ありますね。『恋する二人』(アイ・シュッド・ハヴ・ノウン・ベター)。
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さて、『恋を~』はジョージの曲。『ひとりぼっちのあいつ』同様、上からポール、ジョン、ジョージの三声コーラス(それぞれ2回重ねているので計「六声」)が美しいのだが、上が重くて、いちばん下のジョージのリードボーカルが、よく分からなくなる。
「イフ・アイ・サング・アローン」……「もし1人で歌ったなら」とジョージは心の中でつぶやいたのではないか。ただ来日公演でのジョージの歌は、なかなかに不安定だったので痛しかゆし。
そんなジョージが弾くキラキラした音の12弦ギターと、分厚いコーラスが響き合う感じは、明らかに当時の言葉でいう「フォーク・ロック」の音。つまりはザ・バーズによるボブ・ディランの有名なカバー『ミスター・タンブリン・マン』(65年)のあの音だ。
ビートルズとアメリカの若い音楽家が、影響を受け合っている。いい時代。「もしもあの時代に生きていたら」と私は心の中でそっとつぶやく。
■『君はいずこへ』
原題「アイム・ルッキング・スルー・ユー=君が透けて見える」と邦題は乖離があるが、歌詞の内容的には問題なし。問題があるとすれば、この邦題を読むたびにチャーリー浜(ポールと同じ1942年生まれ)を思い出すことぐらいか。ごめんくさい。
このあたりから、ポールがいろんな声を使い分け始める。『ミッシェル』とこの曲のボーカルが、同一人物なのだから、なかなかの声色使いだ。
とにかくキーが高く、ラストはかなりシャウトしている。
実は「テイク1」が『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』に入っているのだが、キーは『ラバー・ソウル』版(A♭)より半音低く(G)、リズムもどことなく牧歌的である。
痴話喧嘩の歌なので、歌っているうちに、彼女への怒りで「ムキーッ」とテンションが上がってしまった結果、キーまで上がってしまったか。
そんなポールの高音シャウトが好きな方には、解散後のソロ曲『モンクベリー・ムーン・デライト』(71年)がおすすめだ。途中からのシャウトは、チャーリー浜というより、コウメ太夫みたいになってしまいました。チックショー!
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