著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

「医療ひっ迫」と大騒ぎしながら国民医療費は4.0%減少

公開日: 更新日:

 厚生労働省は毎月の国民医療費(日本全体で使われた医療費)の統計を取っており、約半年遅れでネットで公開している(「医療費の動向」調査)。それを見ると、コロナ禍において日本の医療がどうであったか、マクロな視点である程度見えてくる。

 国民医療費は年度ごとに集計される。公表されている最新データは2021年1月までの数字で、2月分、3月分はまだ未公開だ。2020年4月から21年1月までの総額は34・9兆円だった。昨年同期と比べて4・0%減少した。この金額には、保険診療分だけでなく公費(税金)分も含まれている。新型コロナは第2種感染症に指定されているため、入院医療費は全額公費で賄われる。これだけの騒ぎになったのだから、さぞかし医療費が増えた思いきや、実は減っていた。

 少し考えれば、新型コロナにかかる医療費は、さほど巨額でなかったであろうことが理解できる。手間がかかる重症患者は、ピーク時でも全国で1日当たり1600人以下だった。中等症や軽症は有効な治療法がないので、ベッドに寝かせておくだけだ。つまり患者の大半は、入院費以外で医療費を使う場面が少ないのである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  2. 2

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  3. 3

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  4. 4

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 5

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  1. 6

    半世紀前のこの国で夢のような音楽が本当につくられていた

  2. 7

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 8

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 9

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  5. 10

    プロスカウトも把握 高校球界で横行するサイン盗みの実情