著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

新型コロナが流行する前にインフルエンザは大幅減少していた

公開日: 更新日:

 新型コロナの流行に伴って、インフルエンザが急減したのはよく知られている事実である。昨年秋には「コロナとインフルのダブルパンチ」が強く危惧され、高齢者を中心にインフルエンザワクチンの接種が活況を呈した。幸いにしてインフルエンザの流行はなかったが、これは国立感染症研究所がインフルエンザの流行把握を開始して以来、初めての出来事だった。

 通常ならインフルエンザの患者は9月中旬から増え始め、12月に入ると急増し、1月中旬前後にピークに達する。その後は減少に転じ、3月中旬までにはほぼ収束するが、4月末ないし5月上旬まではある程度の患者が出続ける。ところが2020年は3月中旬以降、患者がほとんど見られなくなり、秋になっても増えることなく、冬を越して現在に至っている。

 患者が少なかったため、インフルエンザで亡くなる人も激減した。昨年1月から11月までの統計では、死亡は946人だった。しかも約900人は3月までの死亡で、新型コロナの流行が本格化した4月以降はほんの40~50人しか亡くなっていないのである。

 インフルエンザが減った最大の理由は、われわれの感染症対策にあると言われている。全員がマスクを着用し、日に何度も手指を消毒し、密を避けるなどした結果、感染リスクが劇的に下がった。日本だけでなく、世界的にもインフルエンザが激減したことから、この解釈は正しいに違いない。

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