がん克服し日本百名山を制覇 経験者が語る“山登り&温泉”道
温泉紀行ライターの飯出敏夫さん(71)は70歳のときに、「日本百名山」をすべて制覇した。飯出さんにとって、山は特別な場所。未経験のシニアにもオススメだ。
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「69歳のときに登った霊峰・白山が、ものすごくよかったんです。あの日は明るい霧の中を進む感じだったんですが、途中の弥陀ケ原で、山頂まですうっと一本の道が向かっている場所に出た。それはまるで天国に続いているような神々しさでした。それで下山後にワンダーフォーゲル部に入っていた学生時代を思い返しながら、日本百名山で登頂していないところを数えてみたんです。残りは41だと分かったときに急に火がついて、残りの山を全部登ろうって決めました」
69歳で10、70歳で31を登って、目標を達成した。最後に残されたのは、峻険な山並みをたたえる剣岳。新田次郎の小説でも知られる立山連峰の名峰だ。
もちろん山が好きだったし、徒歩で行く道しかない秘湯の取材も重ねてきた。何十年ぶりに復帰したわけではない。