三枝成彰
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三枝成彰作曲家

1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。

芸術に口出す権力を大衆が支持…ナチス・ドイツと同じでは

公開日: 更新日:

 ジャーナリストの津田大介さんが芸術監督を務める国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の中で企画された「表現の不自由展・その後」がテロ予告や脅迫で中止に追い込まれた。

「ガソリン携行缶を持っておじゃまする」と、京都アニメーションの放火事件を連想させるFAXの脅しもあったという。

 とりわけ批判が多かったのは、慰安婦の問題を象徴する少女像を展示したことだというが、過ちを認め、さまざまな意見や表現を鷹揚な態度で包み込むのが未来志向だろう。そもそも日本政府は1993年の河野談話で慰安婦の強制性について、国の内外に認めている。少女像が反日だというのは、政府談話も否定するのと同じで、それこそ彼らが批判する反日的な行為ではないのか。

 名古屋の河村市長や大阪の松井市長も展示物の内容を批判していたが、権力を握っている人たちが芸術の善し悪しを判断するのは、厳に慎むべきである。

 あのナチスも芸術に口を挟んだ。ヒトラーが嫌った前衛的な表現や非ドイツ的、共産主義的な芸術を「退廃芸術」と名付けて弾圧。美術館などが収蔵していた近代美術作品を次々と押収し、1937年にミュンヘンで開いた「退廃芸術展」で展示した。それも、わざと劣悪な環境で乱雑に展示し、いかにひどい作品であるかを印象付けるように工夫。悪意にまみれた紹介文に購入時の高額な価格も添えて、来場者の怒りを買うようにしていた。こうした仕掛けにまんまと多くの人が踊らされ、新聞にも退廃芸術を批判する記事が掲載されたという。

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