冬こそ旬のグルメ旅 うまい「北陸の海幸」を食べ尽くす!
新幹線の開業から今年で5年。独自の文化と伝統に彩られた北陸を訪れる人はどんどん増えている。日本海のうまいものも、観光客のお目当てのひとつ。とりわけ海水温がグンと下がるこの時季は、北陸ならではのグルメを思う存分に味わえるのでおすすめだ。
地場産業の繊維業を女性が働き手として支えてきた福井県は今も共働きの家庭が多い。女性の有業率は6割近くと全国1位。それが独自の文化を生んできた。
「福井の魚屋さんは調理代行業として発展してきました。働くお母さんたちのニーズで、配達するだけでなく調理もするようになり、現在では2階の広間や座敷で酒や料理を提供するのが一般的になりました」
こう言うのは、「与志多」(℡0776・24・2342)の店主・吉田茂美さん。坂本龍馬が暗殺される2週間前に立ち寄った莨屋旅館の跡地で営業している仕出しと懐石料理の店で、予約をすれば、当日の朝に仕入れた新鮮な魚をふんだんに使った特別なランチ(2750円)も食べられる。
越前ガニの「目利き体験」
この日の刺し身はカンパチ、アジ、カワハギ、福井サーモン、甘エビと盛りだくさん。大根おろしがたっぷり乗った越前そばもおいしい。歴史好きでなくても一度は訪れたい名店だ。
福井といえば越前ガニ。坂井市の「みくに隠居処」(℡0776・82・8558)では、その「目利き体験」(1万9800円、要予約、3月31日まで)を楽しめる。プロのレクチャーを受けて自分で選んだカニを茹でたてでいただけるというもの。
基本は①甲羅に黒い粒々がいっぱい、②腹が肌色、③爪が大きい――の3つ。粒々の多さは「脱皮してから随分たっている証拠」(社長の伊藤俊輔さん)で、身がしっかりしているのだという。腹がやや赤くて爪が小さいのはベニズワイに近く、本来のうまさを味わえないそうだ。
「11~12月は値段が高騰するので、実は2~3月が狙い目です」(伊藤さん)
庶民にとっての旬はこれからだ。
たっぷり脂の乗ったブリも、北陸の冬の味覚の代表格。プリプリの身とサラリと上品な脂は、養殖モノでは絶対に味わえないうまさである。
極上温泉でブリずくめ
この時季に富山を訪れれば、とびきりの天然のブリをあちこちで堪能できるが、どうせなら温泉もセットで極上の時間を過ごしたい。
おすすめは、氷見温泉郷の「くつろぎの宿 うみあかり」(℡0766・74・2211)。「鰤会席」を味わえる宿泊プラン(2人1室利用で1人1万7600円~、2月20日まで)なら、刺し身、焼き、しゃぶしゃぶと、ブリのフルコースを味わえる。
露天風呂も備えた展望大浴場からは富山湾と立山連峰を一望できるので、天気が良ければ早起きは必須。美しい日の出を拝めるはずだ。
「花嫁のれん」のまちの「ちらし寿司」
旧加賀藩のエリアには「花嫁のれん」という独自の風習が今も残っている。結婚式の当日に嫁ぎ先を訪れた新婦が仏壇の前で手を合わせる際、新婦の実家が仏間の入り口に掛ける暖簾を用意するというもの。
その風習にちなみ、七尾市では6店の寿司屋が「花嫁のれんちらし寿司」(2700円、要予約)を提供中だ。花嫁の角に見立てたカニの爪と、七尾湾で取れた地物ネタを7つ以上使うのがルールで、花嫁の「角隠し」をデザインしたパッケージも特徴。この日訪れた「松乃鮨」(℡0767・53・0053)では、ブリ、タコ、アカニシ貝、アオリイカ、甘エビ、タイ、サーモン、イクラが、少し甘めのシャリの上に華やかに盛り付けられていた。
冬の北陸はグルメの宝庫である。
スズと九谷焼の「伝統工芸」体験
400年以上前から続く鋳物のまちとして知られる高岡市(富山県)で、世界が注目のスズ製品を次々に生み出しているのが「能作」(℡0766・63・0001)だ。ネックとされた軟らかさを長所として生かした曲がる器は、そのデザイン性の高さもあって、日本はもちろん世界のレストランで使われている。現地の工場では内部見学のほか、砂を押し固めた鋳型を作って、ぐい飲みや小鉢を製作する体験も人気だ。
華やかな色使いが心を躍らせる九谷焼の製作体験なら小松市(石川県)の「九谷セラミック・ラボラトリー」(℡0761・48・4235)。オープンは昨年5月で、世界にひとつしかない自分だけの器を作れる最新スポットだ。
(取材・文=二口隆光/日刊ゲンダイ)