賢治とワインのまち 岩手県花巻市でのんびり冬のシニア旅

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 花巻といえば宮沢賢治の故郷として有名だが、近ごろは美味なるワインの生産地としても知られる。少し山間に行けばオヤジ好みのひなびた温泉地も。インスタ映えするスポットはないが、シニアがのんびり旅するにはもってこいの場所だ。

 花巻市には県内唯一の花巻空港、新幹線・新花巻駅、東北自動車道・花巻ICがあり、他県からのアクセスは抜群。マイカーやレンタカー、タクシーなどを活用すれば、花巻城など史跡多数の花巻市街や宮沢賢治ゆかりの地、ワイナリーなどを幅広く巡ることができる。

 まずは昼めし。花巻市街の「中華そば高権」(℡0198・23・5632)の名物「高権麺」は、グルメサイトで“花巻に来たらぜひ食べるべし!”と紹介されるほどの名物。路地裏の小さな店の前には行列ができていた。

 出てきたそれは溶き卵のスープに豚肉、白菜、シイタケの具がどっさり。箸で手繰り出した麺は中太ストレート。醤油とイリコだしの香りが食欲をそそる。見た目は中華の酸辣湯麺だが、実は素朴な和風ラーメンだった。

 食後は腹ごなしに花巻市街を散策。バス通り沿いに昔ながらの団子屋「照井菓子店」(℡0198・23・3849)を見つけた。実はここ、宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」に出てくる活版印刷所の跡地。いわば賢治ゆかりの地だ。

 品揃えは「お茶餅」「しょう油団子」「小豆団子」「ごま団子」「経木まんじゅう」「きりさんしょう」と、どれもうまそうなので選びきれない! なので全部購入。夜食でいただいたが、甘すぎない味は、“サ党”の舌にもピッタリだった。

 午後はお楽しみの温泉へ。宮沢賢治の「なめとこ山の熊」や「風の又三郎」に出てくる豊沢川沿いに、下流から順に松倉、志戸平、渡り、大沢、山の神、鉛、新鉛と7つの温泉地がある。今回は志戸平温泉の「ホテル志戸平」(℡0198・25・2011)の日帰り入浴へ。豊沢川を眼下に望む渓流露天風呂は迫力満点、そして風情たっぷりだった。

 夜は川端の飲み屋街「双葉町」界隈へ。駅からかなり離れているが、豊沢川と北上川の水運が主な交通手段だった時代はこの辺りが中心部だったのだろう。花巻市役所、高村光太郎ゆかりの松庵寺、宮沢賢治の生家跡などがある。

 路地裏も含めると30軒ほど飲食店があり、どこに入ろうか迷うほど。この日は己の勘に従い、地元民向けの小さな酒場で地酒のワンカップ、郷土料理居酒屋で東北名物・芋の子汁でまた地酒(今度は熱燗)をやった。具だくさんの田舎汁は、酒のアテにも最高!

 翌日は定番の観光スポット巡りに精を出すことに。大迫交流活性化センター敷地内にある「早池峰と賢治の展示館」(℡0198・48・2070)は、童話「猫の事務所」のモデルといわれる旧稗貫郡役所を復元した展示館。賢治が常宿としていた旧石川旅館の部屋の再現や、「風の又三郎」の舞台といわれる猫山のモリブデン鉱石などを展示している。

「花巻市総合文化財センター」(℡0198・29・4567)は、花巻市内の埋蔵文化財資料を一堂に集めた総合文化施設。早池峰山の自然や早池峰神楽、縄文時代の遺跡などについて学べる。2011年に閉館した「山岳博物館」の資料も展示。植村直己のピッケルなどは山好きにはお宝だろう。

「ガラス体験工房 森のくに」(℡0198・48・3009)では、吹きガラスに挑戦。美人先生の手ほどきのおかげで、味のあるネックレスが完成。妻へのちょうどいい土産になった。

地元産ブドウにこだわったワイン蔵

 最後は地元ワイナリー「エーデルワイン」(℡0120・08・3037)へ。昭和37(1962)年設立の「岩手ぶどう酒醸造」を前身とする由緒あるワイン蔵で、地元産ブドウにこだわった質の高いワインは国内外で評価が高い。ただし8割近くが県内で消費されるので、知る人ぞ知るワインなのだ。

 敷地内にある「ワインシャトー大迫」(℡0198・48・3200)は、エーデルワインの全商品を販売し、試飲も常時10種類以上用意。珍しい蔵出し生ワインはグラス1杯100円から飲める。

 岩手県産ワインの生産量は山梨、長野、北海道、山形についで全国5位。県内13のワイナリーのうちエーデルワインを筆頭に最多4社が花巻にある。毎年5月には「日本ワインフェスティバル花巻」を開催し、ワインのまちをアピール。もしいま賢治が花巻のワインを飲んだら、どんな言葉でその味を表すだろうか……。

(取材・文=いからしひろき)

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