温暖な瀬戸内海が育むカキとタコ 広島冬グルメを食べ歩き

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専門店ならではの豊富なメニュー

 広島といえばカキ!……だけじゃない、実はマダコも特産品で、最盛期は夏だが1、2月も旬。温暖な瀬戸内海が育む広島の冬の味覚を、現地で食べ歩いてきたゾ!

  ◇  ◇  ◇

 三原市は江戸時代から続くマダコの産地。市内ではタコ天やタコ焼き、タコ入りもみじ饅頭などB級グルメから、手の込んだ本格タコ料理まで、さまざまな“タコグルメ”を味わえる。

 タコ料理専門店「和食処 登喜将 本店」(℡0848・62・7393)の店主・木田多泰さんは、「三原の海は地形に富み、砂場もあるのでタコの産卵に適しています。そして潮の流れが速いので、タコの身がしまり、おいしくなるのです」。

 

 そんな三原の活きダコを使った「たこお手軽コース」(税別2900円)をいただいた。まずは「やわらか煮」。じっくり煮たタコは噛むとホロリと身が崩れるほどやわらか。味もしっかり染みて、こりゃ酒が進む。お次は「活たこ刺身」。こちらは醤油と梅肉で。シコシコとした食感と梅肉の酸味が爽快! シンプル・イズ・ベストの「たこの天ぷら」に、広島の府中味噌を使った「たこピリ辛鍋」に続き、メインはタコの風味とうま味が米にしっかり染み込んだ「たこ釜飯」。三原を代表する伝統料理で、漁師がとったばかりのタコを船上でぶつ切りにし、ご飯と一緒に炊き込んで食べたのが始まりだ。

 それにしても、タコ料理にこんなにも食感、味のバリエーションがあるとは。料理人の腕もあるだろうが、まさに目からウロコ(タコにはないが)のおいしさだった。

名店の絶品料理をはしご

 続いて向かったのはJR広島駅の西側、通称“エキニシ”。狭い路地に老舗と新店がごった煮のごとく連なる注目のグルメスポットだ。こちらではカキの季節に合わせ「広島はしご牡蠣」なるイベントを開催。各店が趣向を凝らしたカキ料理を、ハシゴ酒のように食べ歩こうというわけだ。

 参加店の1軒「広島赤焼えん 駅西本店」(℡082・569・8873)の自慢のカキ料理はその名も「マシマシ牡蠣」(税別2315円)。広島お好み焼きに、鉄板でこんがり蒸し焼きにしたカキを、これでもか! これでもか! とてんこ盛り。そこにバターをのせて一丁上がり。味も見た目もインパクト大の一品だ。

 他に、洋食派ならカキのアヒージョやカキのグラタンが食べられる創作バル「EARTORY(アトリ)」、麺好きなら「かきらーめん」が自慢の「広島らーめん たかひろ」がオススメだ。

イカダ漁のスペシャル体験

 手の込んだカキ料理もいいけど、やっぱりシンプルな焼きガキも食べたい! ってんで、早起きして行ってきましたよ、廿日市市へ。「島田水産」(℡0829・56・2004)では、漁船でカキの養殖場へ行き、カキの水揚げ風景を間近で見学。厳島神社の鳥居を船上からお参りした後、高速でカキの殻をむく“カキ打ち”に目を見張り、そして併設のカキ小屋で焼きガキと漁師風のカキ雑炊を味わうという、広島でもスペシャルな体験ができるのだ(要予約、食事代込み大人税別3000円)。

 眠い目をこすりつつ海に繰り出すと、瀬戸内海の穏やかさ、山と海の近さを実感。山から流れ込んだ栄養豊富な水が、穏やかな海の中でじっくりと稚貝を育て、身のしまった広島のカキをつくり上げるのだ。そして伝統のイカダ漁。水深約15メートルの海中に垂らしたロープをクレーンで引き揚げると、カキの殻がビッシリ! その数なんと500個。

「昔からカキは自生していましたが、イカダの垂下式養殖のおかげでカキの生産量は飛躍的に増えました。しかし、それに適応するだけのコンディションが広島の海にあったということ。どれだけ人間が手を加えても、海にエサがなかったらカキは育ちませんからね」(島田水産・三宅將さん)

 全国の約6割の生産量を誇る広島のカキは、豊かな海と漁師さんの知恵と努力のたまものなのだ。

(取材・文=いからしひろき)

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