特別な知床の秋に「地の果て」で出合える絵画のような風景

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 シリエトク――アイヌ語で「地の果て」を意味する知床の秋は、空気がピリリと澄んでいて、美しい景色を楽しむことができる。雪に閉じ込められるまで、ぜいたくな時間を過ごすことができるだろう。

  ◇  ◇  ◇

 夏の道東エリアは、霧に包まれることが多い。温かく湿った空気が風に乗って大地に流れてくるため、すぐ前を走る車すら見えなくなってしまうこともあるそうだ。

 それが8月中旬を過ぎれば、雨が来るたびに気温が下がり、空気が乾燥していく。その頃からかなりの確率で、北海道らしい美しい景色を見られるようになるという。

■知床八景の夕日

 オホーツク海に沈む夕日も、雲が少なくなる秋が見ごろだ。知床の玄関口「知床斜里駅」から北東に30キロほど行くと、知床観光の拠点となるウトロがある。太陽が沈む頃に丘の上の国設知床野営場を目指そう。その一角にある「夕陽台展望台」からの絶景は「知床八景」のひとつに数えられる。オレンジ色をした太陽から海の上を真っすぐに伸びてくる幻想的な光は、物悲しくも神々しい。「地の果て」で味わう非日常に心が洗われる思いだ。

 ウトロからは陸路で知床五湖をめぐるもよし、海路で知床連山を眺めるもよし。世界自然遺産にはさまざまな表情があり、訪れる人を飽きさせない。体力に自信がない人は、ウトロ港から出航する観光船「おーろら」(℡0152・24・2146=道東観光開発)に乗るといい。険しい断崖が連なる雄々しい海岸線を思う存分に堪能できるはずだ。コースは「秘境知床岬航路」(3時間45分、6500円)と「カムイワッカの滝航路」(1時間30分、3100円)。アイヌの人たちが「神様の水」と呼んだカムイワッカの滝から落ちる強酸性の水は、海水をエメラルドグリーンに変える。晴れた日であれば、そんな神秘的な風景にも出合えるはずだ。

 斜里町峰浜の国道244号から334号に続く全長28・1キロの直線道路は、真っすぐ空まで突き抜けているように見える。人呼んで「天に続く道」。

 もともと一部の人しか知らなかった場所だが、テレビで紹介されて人気のスポットとなった。現在は看板や小さな駐車場も併設されている。


■「摩周ブルー」に映るカムイヌプリ

 布施明が歌ったヒット曲の影響で、霧に覆われているイメージが強い摩周湖も、秋に訪れれば「摩周ブルー」を拝める可能性が高い。風もない絶好のコンディションであれば、湖面に反射するカムイヌプリ(摩周岳)や白い雲と見事なコントラストを描く。美しさの秘密は透明度にあり、1931(昭和6)年に計測された41・6メートルは、湖として世界一(当時)の記録。神秘的で原生的な景観は、周辺への立ち入りを禁じることで保たれている。

湿原を走る「ノロッコ号」

 山手線がすっぽりと入るほど広大な釧路湿原を走る観光列車「くしろ湿原ノロッコ号」は運行から30年を迎えた。手つかずの自然が車窓まで迫り、エゾシカやタンチョウといった野生動物に遭遇することも珍しくない。線路のすぐそばまで蛇行している釧路川では川下りを楽しむカヌーの姿も。

 今年は10月14日まで運行。釧路~塘路間の片道運賃は540円、指定席料金は520円だ。カヌー体験とセットの日帰りパックも販売されている。(料金はいずれも9月現在)

(取材・文=二口隆光/日刊ゲンダイ)

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