給付金10万円に単発バイト ベテラン舞台俳優が挑む“現場”
ひらがかんいちさん(舞台俳優・63歳)#2
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今年4月から秋にかけて予定していた3作品の演劇公演が延期・中止になった舞台俳優、ひらがかんいちさん(芸名・63)。生活のために非正規で働いていた映像機材関連の会社も解雇され、ダブルパンチをくらった状態に。働く場を求めたが、そう簡単にはいかなかった。
「この先どうなるのかと精神的にも追い詰められていましたね。10万円の特別定額給付金と単発のアルバイト、微々たる貯金で食いつなぎました。求職活動も立て続けに11件断られた。警備員や運転手、中には、冠婚葬祭などで家族の代わりをする“レンタル家族”の派遣会社まで、あらゆる職種です」
大学時代から演劇の道に進んだひらがさんは、ブランクもあるが約30年にわたり舞台俳優をしている。妻と成人した子供2人の4人家族。それぞれ仕事をしているとはいえ、家のローンや税金は自身の収入でまかなう。働かなければ、それも支払えない。返済は銀行に掛け合って1カ月だけ待ってもらった。
そんな中、飛び込みの求職でやっと働けるようになったのが、介護施設のバイトだった。送迎車のドライバーからスタートし、現在は介護職員のサポートもしている。