人気ラーメン「一蘭」が20年断り続けたカップ麺発売のワケ
国内外に80店舗以上を展開する、天然とんこつラーメン専門店「一蘭」。2月15日に発売したカップ麺(税込み490円)は一蘭の店舗のほか、通販や一部コンビニなどで販売されたが、そのほとんどで即日完売。すでに80万食分が出荷済みで、1日に追加分が販売された。
あくまで独自商品のため、コンビニに数多並ぶ有名ラーメン店のカップ麺とは一線を画すという。
人気の理由を一蘭広報の佐々木千沙子さんに聞いた。まず、20年以上前からさまざまなところからカップ麺のオファーがあったものの、すべて断り続けてきたという。
「弊社の要望やこだわりの再現に100%応えていただけるところがなく、これまでお断りしていましたが、この度、エースコックさんの高い技術力で商品化できました。おかげさまで想像以上の反響をいただき、こちらも驚いております」
「とんこつラーメンを世界一研究する会社」だけあって、企画から味の再現まですべて一蘭主導で行われ、何万回もの試食を繰り返してきた。しかし、店舗の味の再現ではなく、あくまでカップ麺の中でできる最高のものを目指したという。そして、1つ490円(税込み)の強気な価格にも理由があった。
多くの一蘭ファンが待ち望んでいた
「具材を入れる案もありましたが、ラーメン本来の味を堪能いただくため、具なしで発売することに。材料を厳選する中で特にコスト面でスープの比重が高く、こだわりの味を提供するためにこの価格になりました」
爆発的な売れ行きはコロナによる巣ごもりの影響もあるだろうが、一蘭ファンが待ち望んでいたからこそ。
「ヒカキンさんといったインフルエンサーの方々に、YouTubeやSNSで取り上げていただいた影響も大きかったと思います」
一蘭の実店舗も、道頓堀や新宿、渋谷などインバウンドで外国人客が多かったエリアはコロナの影響で大幅に売り上げがダウン。しかし、席ごとに間仕切りされている「味集中カウンター」など、以前から“コロナ仕様”だったことが功を奏し、安心して食べられる店と認識された。
また、昨年3月から対象年齢を「小学6年生まで」に引き上げた無料提供のお子様ラーメン(通常の半量)が好評で、ロードサイド店などは家族連れで盛況だ。人気のカップ麺は定番化するという。
(取材・文=伊藤洋次/日刊ゲンダイ)