大谷翔平に学ぶ愛され方 真似したい「一流の振る舞い」「謙虚な姿勢」「ちゃめっ気」

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 生まれ変わったら大谷翔平(27)のようになりたい――。エンゼルス大谷への賛辞の声が止まらない。大柄なメジャー選手にも引けを取らない体格とパワーを持っているが、世界がさらに称賛するのは「謙虚な姿勢」。真似しようと思ってもできるものではないが、同じ社会人として参考にしたい。

■ゴミを拾う姿を「子供の模範」とファン絶賛

 打者として6本塁打、投手としても1勝。圧倒的な成績で6月第3週(14~20日)の週間最優秀選手に選ばれた大谷翔平。しかし、ここで米メディアが注目したのは、その打棒でもなく、はたまた剛速球でもなく、6月17日(日本時間18日)のタイガース戦で見せた「ゴミ拾い」だった。四球で一塁に向かう途中、グラウンドに落ちたゴミをポケットに入れる姿に米ファンは「全ての子供の模範」「投げて打って、さらに地球のことまで考えている」と驚いたのだ。

 かと思えば、MLB公式サイトの記者は大谷がエンゼルスに入団した2018年、「彼はマイク・ソーシア監督(18年までエンゼルス監督)の椅子を先に引いた。監督に敬意を表す態度は米国ではあまり見られない」と称賛したことがあった。常に一歩引き、相手を立てる姿勢が万人に愛される理由のひとつだ。

「世界が注目の大谷君の『ゴミ拾い』ですが、花巻東高校の野球部員は当たり前のように身に付けています。私の教え子にも花巻東の野球部出身の学生がいますが、大谷君のゴミ拾いを聞いた時、『ああ、同じことをするんだ』と別に驚きませんでした。これは『ゴミを拾うことで運を拾う』という佐々木洋監督の教えのようです」(国士舘大学講師の安重千代子氏)

 佐々木監督は「選手を育てる前に人を育てる」ことを大事にしており、これは同校の「報徳の教え」の教育方針とも合致する。至誠(まごころ)、勤労(社会への奉仕)、分度(立場をわきまえる)、推譲(将来世代に残す遺産またはそれを譲ること)という二宮尊徳の教えだ。

「ディズニーランドの創設者ウォルト・ディズニーは、70年も前に『掃除係にこそ一番多くの給料を払いなさい』と言った人物です。お客さんと最も出会う機会の多いのが掃除係であり、それが遊園地全体の印象を左右します。そのディズニーランド発祥の地である米国で、日本の若者が同じことをして称賛された。大谷君は『お天道さまが見ている』という日本的な考えでの行為だったのでしょうが、ビジネス的にも正解と言えます」(前出の安重氏)

プホルス、トラウトらチームの先輩に可愛がられる

 一方、大谷は年上に可愛がられる傾向がある。3人きょうだい(兄と姉)の末っ子という育った環境もありそうだが、大谷を最も可愛がっていたのが今季途中にドジャースに移籍したプホルス(41)だ。弟分が心配だったのか、先日のオールスターのホームラン競争では、打席のインターバル中に何度も携帯電話で連絡をしてきたほど。大谷がケガでリハビリ中に特に励ましてくれたのは、トラウト(29)とシモンズ(31=現ツインズ)だったという。

「年上に好かれるタイプは『ちゃめっ気』と『礼儀正しい』の2通りがあります。ちゃめっ気は失敗しても『アイツはしょうがねぇなあ』と思われる愛嬌ですが、大谷のような実力者ともなると、むしろ礼儀正しさの方が重要視されるでしょう。本人は決してそうは思っていなくても、偉くなるほど他人の目は厳しくなり、謙虚さが求められる。そして上の人に自慢させるようになったら完璧です。大谷には『オレがアイツを育てた』と言わせる雰囲気があります。これはサラリーマン社会でも同じで、『これはどうでしょうか?』と上司にアドバイスを求めるだけでいい。それにしても彼はあの若さで足るを知るというか、自分の立ち位置を熟知しています」(作家で僧侶、武道家の向谷匡史氏)

 50歳を過ぎても他人の意見に耳を傾けるのは難しいものだが、向谷氏は「姿見の前にじっと立って自分を見ていれば、やがて自分がわかってくる」とアドバイスする。

〈草の庵に足さしのべて小山田の かわずの声を聞かくしよしも〉

 これは「大愚」と名乗った良寛和尚の句。初夏の夕暮れ、粗末な庵でひとり足を伸ばしながら蛙の声に耳を傾ける老僧の姿が思い浮かんでくる。

■究極のボケで落語の与太郎に似ている

 大谷選手は最近、テスラ車の「モデルX」を購入したという。1000万円を優に超える価格だが、現時点でも300万ドルの年俸を得ており、いずれ年30億円を超える契約をするとされる大谷にとっては「質素」とも言える買い物だ。

 このギャップがまた彼の魅力であり、「大谷は与太郎だ」と言うのは落語家の立川談慶氏だ。

「バカに見えるが、実は賢い、落語に出てくるところの与太郎ですな。究極のボケとも言えます。ディズニーランドに行くか、家で落ち着いて写経するか迷った時、フツーは迷うところですが、大谷は『ディズニーランドで写経する』ことを選ぶニュートラル思考。談志のような大いなる天才と思考が一緒です。お父さま、お母さまもバカ息子が東大に入りたいと言い出した時、『どうせならハーバードがいいね』と勧めるような育て方をされたのでしょう」

 とにかくあまりにボケが壮大すぎて常人には理解できない。

「ボケだけど凄い、このギャップが人をひきつける。『二刀流では大きな成績は残せない』と否定的だった球界ご意見番の張本さんも、つい先日、テレビで褒めちぎっていましたね。張本さんは大谷の実力を“日本の物差し”で測ってきましたが、実はこの大谷、“メジャー”でした(笑い)」

 与太郎は長屋のご隠居さんに行動をいさめられたり、デキのいい女房がいて支えられたりするが、実は「人を集める」という才能があり、あらゆる噺を総合すると「バカじゃない」という結論に行き着く。大谷も同じだ。

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