東京五輪に注ぎ込んだカネは3兆円超…閉会後に始まる「不明瞭な会計」への大追及

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 今週末8日で東京オリンピック・パラリンピックの前半戦、オリンピックが終了する。総額3兆円を超す巨費を投じた祭りだが、国民はメダルの数に一喜一憂することなく、大会収支についても冷静な判断を下さなければいけない。

 ◇  ◇  ◇

 3兆円分の感動はあっただろうか。招致段階で総額7340億円だった「大会経費」は、コロナ前の段階で1兆3500億円に拡大。さらに1年延期による2940億円の増加分が加わり、現在は1兆6440億円と公式発表されている。

 この大会経費とは別に会計検査院が2018年までに1兆6000億円程度の「関連経費」がかかったと報告しており、総額は少なく見積もっても3兆2000億円を超すことになる。

 この金額がいかに高いかというと、例えば2021年度の「学習者用デジタル教科書普及促進」予算は22億円、「不登校児童生徒に対する支援」が3億円、「環境エネルギー分野の研究開発推進」が233億円であることを見ても分かるだろう。

 すでに政府は22年度から「雇用保険料の値上げ」を検討しているが、それぐらい厳しい財政状況であるならば、なおさら五輪にかかったお金の精査が必要だろう。特に直接の支出である「大会経費」は厳しい調査が必要だ。今年6月、誘致の際に要したとされる“賄賂”のカネの流れを知るIOC経理部長(52)が電車にはねられるという謎の死を遂げているが、これまでのように大会が終わったと同時に重要文書が「破棄されたり」「どこかへ紛失する」ことだけは避けたい。

4497万円のゴルフカート賃貸料は高すぎない?

 運営に関わる調達物は原則、競争入札で行われた。その中で「ゴルフカートの借り入れ」の4497万円は果たして適正な金額なのか、議論の余地はあるだろう。また、「選手村ランドリーサービス業務委託」の2億5422万円に対し、「サッカーマラソン・競歩選手のランドリーサービス業務委託」の7156万円は少し割高ではないのか?

■競技施設の運営権を民間に売却

 五輪後に民間に安価で“払い下げ”られる競技施設にもチェックが必要。総工費370億円の「有明アリーナ」は46年3月まで「電通」を代表に、「NTTドコモ」「アミューズ」「アシックスジャパン」などで構成される企業体に運営権が譲渡される。契約料は25年で約94億円(プラス利益の半分)と格安で、1万5000人収容の施設はコンサートや文化イベントなど多方面に活用できる。

 国民の批判を受けて総工費2520億円を1569億円に削った「オリンピックスタジアム(新国立競技場)」も今秋には公募で運営事業者が決められる。契約料や契約期間の詳細はまだ伝わってきてないが、世界でも有数の超一等地にある施設だけに、妥当な金額で契約を結んでもらいたいところだ。

 一方、有明アリーナや新国立競技場と違い用途が限られる「東京アクアティクスセンター」(総工費567億円)は、大会が終わったら収容人員1万5000人をわざわざ5000人に減築して運営される。さすがに水泳以外に使い道がないため運営権を買ってくれる企業はなく、都の天下り団体「東京都スポーツ文化事業団」などが都議会の承認を経て指定管理者として運営を任される。都の想定では年間収入3.5億円に対し、人件費などの支出は9.88億円。差し引き約6億3800万円の赤字が毎年続くという。

疑惑には事欠かない

 同様に都の想定では「海の森水上競技場」(308億円)は年間1億5800万円、「カヌー・スラロームセンター」(73億円)は年間1億8600万円、「大井ホッケー競技場」(48億円)は年間9200万円、「夢の島公園アーチェリー場」(45.4億円)は1170万円とそれぞれ赤字を垂れ流す。もっとも、これでは収まり切らないといわれている。

 一部業者による運営スタッフ給与の大幅な中抜き、選手村用地の格安売却、パートナー(スポンサー)企業への優先的な工事発注など疑惑には事欠かない今回の五輪。オリンピックという祭りの後は、不明朗なカネの流れに鋭いメスを入れなくてはいけない。 

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