新型コロナ感染を経験したお笑い芸人3人が明かす「自宅療養と食事」
新型コロナウイルス感染による自宅療養者が高止まりしている。医療機関は機能不全状態で、感染したら自宅で治癒を待つしかないのが現状だ。その時、自宅でどのように過ごせばいいのだろうか?
◇ ◇ ◇
一人暮らしは当然、同居家族に感染者が出れば食事の世話をすることになる。陽性でなくとも、濃厚接触者であれば買い物に出掛けてはいけない。万が一に備えて、買いだめすべきものは? 重症・軽症・無症状の経験者はそれぞれどうやってしのいだのか。
今年1月、一時中等症で入院を経験した漫才コンビ「オジンオズボーン」の高松新一さん(40)。陽性発覚から、5日目までは自宅療養をしていた。
■咳が止まらないときは?
「陽性を確認後は大きな体調の変化はなく、過去に感染していた後輩に電話して様子を聞いていたくらい余裕はありました。2日目くらいから40度の熱と咳が止まらなくなって、食欲はなかったですが、栄養を付けるためにとにかく食べないとと思い、ウーバーイーツを頼んで玄関の前に置いてもらっていました。ただ、食べるとむせてしまって――。僕は咳がひどかったので、3~5分は咳が止まらず、落ち着いてはまた咳き込んでを繰り返し、そのスパンがどんどん短くなりました。固形物を食べると咳がひどくなるので、何も受け付けなくなったのですが、そこで、感染直後に差し入れでもらっていた飲むタイプのゼリーに助けられました。ふらふらの状態でしたが、力を入れなくても開けやすいキャップで、力を入れなくても吸い込めるソフト容器でしたから。あとはポカリスエットやアクエリアスといった飲料を飲んで、入院までしのぎました。プリンやゼリーは、数日分、買い置きか、差し入れしてもらうといいですね」
固形物が喉を通らない…「飲むゼリー」助けられた
長引く咳と熱で体力を消耗し、台所に立ってお湯を沸かすことも困難だ。大人でも握力がなくなるので、パッケージも軽くひねったり、指先でめくるだけで開けられる仕様がいいという。商品パッケージも、ビニール製の個袋ではなく、できれば紙製の簡単に破りやすいものがいい。
冷蔵・冷凍庫には、ゼリー、プリン、アイスクリームのような喉越しのいいもののほか、スポーツドリンク、経口補水液は、最低1週間分は用意しておきたい。
「理由は、咳や咽頭痛で固形物が食べにくく、さらに熱いものも食べにくくなります。また発熱で水分も失われるため、意識して水分も摂取しなければなりません。とくにアイスクリームは水分にもなるし、少量でもカロリー摂取がしっかりとできます。水分補給は、スポーツドリンク、経口補水液がいいですね。発熱に伴う汗で水分と同時に塩分も失われますから、同時に補えます」(訪問診療も行う「アーチクリニック」の関根一真院長=呼吸器内科)
味覚・嗅覚が戻らない…「てりやきマック」をリピート
症状は軽症でも、味覚が戻らないケースは食事が苦痛だ。8月14日ごろから約2週間自宅療養したピン芸人のハッピー遠藤さん(29)は、3日間は39度を超える高熱があったが、その後は味覚・嗅覚以外の症状は特になかったという。半月経った現在も少し味を感じる程度だ。
「倦怠感があって高熱が出て、2日目くらいから味もにおいも分からなくなりました。体調がすぐれないときは水が飲みたくて、1日2リットルのペットボトルを空にしていました。通販で置き配もしてもらえますが、大型のペットボトルを1ケースはストックしておくと安心かもしれません。食事は、味の濃いカップ麺や、ウーバーイーツであえて苦手なパクチーを使ったメニューを頼んだのですが全く味もにおいもしない。それでもお腹はすくので、リピートしていたのが『てりやきマックバーガー』です。好きでよく食べていたので、食感で味が思い出せるメニューでした。味がしないものを食べるのってつらいのですが、ただ口に詰め込んでも喉を通りません。食感がとても大事で、食材でも、お菓子でも味を想像できる好物を買い置きしておくのがおすすめです」
ウエハース生地が特徴的な「キットカット」や、やわらか食感の「ミルキー」などだ。
その他、味覚や嗅覚がないときに食べられるものは、レモンやカレー、梅干しなど、はっきりとした味付けで少しでも味を感じられる可能性があるものがいいという。うどんやそば、そうめんもいい。
「喉越しがいいので味が感じられなくてものみ込みやすい。そのほかの工夫として、料理の温度を人肌程度にしたり、金属スプーンを木製などにすることなどで、舌への違和感が軽減できますから、試してみてください。とにかく感染時はカロリーの消費が激しいので、できるだけしっかりとカロリーを摂取することが第一優先です」(関根一真院長)
無症状でも自治体からの食料は10日後に…
知人のコロナ感染で、濃厚接触者だったことから個人的にPCR検査をしたお笑いコンビ「ひのこ」の中谷亮太さん(27)。8月上旬に陽性が確定し、保健所からは10日間の自宅待機を要請された。
「熱もなく、咳や味覚障害なども一切ありませんでした。東京都の感染者がピークの時期ですから、保健所と最初の連絡で、無症状と伝えたきり、解除になる日まで連絡はありませんでした。コンビニも銀行もダメ、出前を取ってくださいと言われました。急だったので、お金の持ち合わせもなく、クレジットカードがない人はどうすればいいのかと思いましたが、部屋に食材がなかったので、実家に連絡し、肉や野菜などを手配してもらいました。自治体から食品が来るからと安心していたのですが、結局、私の住む自治体は最初の連絡から10日後、隔離期間が解除された日に10日分の食料が届きました。忙しいので仕方ないと思いますが、あてにしてはいけません」
いずれも独身一人暮らしの例だが、家族のいる人にも大いに参考になりそうだ。