「コロナ感染経験者」と「ワクチン接種者」が抗体量を検査で調べてみた

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 都内の出版社に勤める英樹さん(53=仮名・喫煙者)は6月29日に新型コロナ感染が判明。妻の那奈さん(52=仮名)も数日遅れで家庭内感染した。

 英樹さんはほぼ無症状で、7月2~8日の1週間でホテル療養を終えられたが、那奈さんは39度近い発熱と、嗅覚がなくなり咳も止まらず……大事には至らなかったが、ホテルで10日間療養することになったそうだ。

「感染から2カ月ちょっと経ったので、抗体量を調べてからワクチン接種のタイミングを決めることにしました。抗体があるのに接種したら無駄打ちでしょう」

 ネット検索をした結果、自費診療の抗体定量検査は都内で6000円~1万円ぐらい。ちなみに中和抗体とはウイルスの感染を阻害する抗体のこと。もし感染しても重症化を防ぐ効果が期待されている。

「医療機関によって検査に使う試薬も違ってきますが、スイスのロシュ社製と米国のアボット社製のシェアが大きいみたいですね。料金は、結果を3日後ぐらいにメールで知らせるところは割安、結果も早く出て医師が説明してくれるところはそのぶん高くなるといった感じでしょうか」

 9月18日、渋谷区内のクリニックで、アボット社製の「IgG抗体定量検査」を受けた。医師の問診と採血で10分ほど、税込みで1人1万1000円の会計を済ませて、その日は終了。

■陽性判明者の抗体量は「346.0AU/㎖」

 通常なら翌日に結果が出るが、19、20日が休診だったので、連休明けの21日に結果を聞きに行ったら……英樹さんは「346.0」、那奈さんは「2366.2」という数値を示された。

 単位は「AU/㎖」らしいが、素人にはよく分からない。何でも「4160」が一応の目安で、この数値を超えると100人中95人、つまり95%の確率でウイルスから身を守る十分な抗体があると考えられる。「3200」で90%、「2150」で80%と下がっていくんだとか。

 医師の話では、感染者はワクチン接種者より抗体量が少ない。それでも那奈さんは症状が重かったせいか「2カ月経ってこの量なら多い方です」と言われたそうだ。

「私が『346って少なすぎませんかね』と不安がっていると、医師から『私も今年の5月にワクチン接種を終えて、今は700ぐらいですよ』と慰められました」

 何でも、抗体量はパトカーの台数みたいなもので、犯罪者(ウイルス)が侵入しても、パトカーがゼロなら防ぎようがないが、346台でも700台でも巡回していれば、現場に急行して取り押さえようとしてくれる。台数が多いからといって100%防犯できるわけでもないし、少なくても捕まえられる。そう考えればいいと、医師から説明されたそうだ。

「それでもワクチン接種を勧められたので、私は急いで1回目をやることにしました」と英樹さん。

簡易検査なら短時間で結果が分かる

 英樹さんと那奈さんの取材後、物は試しで、民間の簡易検査も受けてほしいと頼んだ。

 検査にかかる時間は10分ほど、その場で結果が分かるというのが売りだ。早いのは確かで、おおむね安い。3000~5000円といったところか。

「間仕切りのあるカウンター席で検査キットを手渡され、採血用針を自分で指先にプチッと刺して2滴ほどの量の血をスポイトで吸い取る。それをスタッフが持って行って待つこと10分ほどと、簡単は簡単でした」

 気になる結果は、英樹さんが「18.34%」、那奈さんが「26.65%」。ウイルスの“阻害率”だとか。

「目安は『20%』で、それ以上だと中和抗体が産生され、数値が高い方が阻害率が高まる可能性がある。ワクチン2回接種で『100%近い数字が出る人もいます』などと説明されました」

 20%未満の英樹さんは十分に産生されていない可能性があるということだ。

「妻の方が数値が高いという結果はクリニックと同じで、簡易検査も目安にはなるでしょう。私なら多少お金を払ってでも、医療機関で受けます。医師による説明という安心感はお金には代え難いものがある」

 選択は人それぞれだ。

記者の抗体量は平均よりやや低め

 続いて日刊ゲンダイ本紙記者も抗体量検査を受けてみた。

 先の2人と違って記者は非陽性者で、ファイザー社製のワクチンを8月14日に1回目、9月4日に2回目を接種済み。検査は抗体が最も多くなるとされる接種2回目の2週間後に行った。

 向かった先は新橋駅近くのクリニック。ロシュ社製の検査試薬を用いた定量検査で、料金はやはり税込み1万1000円。その数値は国際的に発表されている数値と比較可能だ。検査の説明、医師との問診(オンライン)、採血を含め20分程度で終わり、結果は2時間後にオンライン上で見ることができる。

 検査の結果、記者の抗体量は「1541U/㎖」。千葉大学医学部付属病院が調べた接種後の中央値が「2060U/㎖」であることから、やや少ないことが分かった。とはいえ、現在のところは十分に感染防御能力を得ていることになる。

 今後注目すべきは、この抗体量が時間経過と共にどれくらいまで維持できるかということ。国立病院機構宇都宮病院が2回目接種から3カ月後の抗体価を調査しており、それが大いに参考になる。同調査によると、2回目接種から2週間後の中央値は「2140U/㎖」であったが、3カ月後に抗体価は3分の1~5分の1まで低下していた。宇都宮病院職員378人の平均では、年齢が高いほど抗体量は少なく、また女性より男性の方が少ない傾向があった。年齢に関しては、3カ月後の20代の中央値が約1000U/㎖なのに対し、60~70代は約500U/㎖と半分しかなかった。

 この調査で特に気になったのは、生活習慣や持病の有無による減り幅の大小。「喫煙」「飲酒」「高血圧」「糖尿病」が与える影響を調べたところ、「喫煙」のみがリスク因子だったという。要するに、英樹さんのような喫煙者は減り幅が大きい可能性があるということのようだ。高齢者や喫煙者はワクチンのブースター接種を検討しておいた方がよさそうだ。

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