原宿・竹下通りで進む“コリアンタウン化現象” 新大久保から若者の移動を狙う
若者の街、東京・原宿でイカゲームが体験できるスポット「K-TOWN 原宿」が人気だ。「K」とは「KOREAN」を意味。東京でコリアンタウンといえば、新大久保を思い浮かべる人が多そうだが、原宿も徐々に韓国化しつつある。
竹下通りには韓国で有名なコスメやファッションを展開する「STYLENANDA(スタイルナンダ)」やコスメショップの「ETUDE HOUSE(エチュードハウス)」が3年ほど前に上陸。そして昨年「K-TOWN 原宿」がオープンした。そんな「K-TOWN 原宿」で行列が絶えないのが昨年10月にオープンした「SQUIDGAME」という店舗。ここでは、Netflixで人気の韓国ドラマ「イカゲーム」のワンシーンで登場する“型抜き”が体験できる。店主によると、「三角形とハート形が成功率が高く、一番簡単だが、気を抜くとすぐにぱりっと割れちゃうよ。割れたらおうちに持って帰って牛乳に漬けて食べてね」とのこと。筆者も星形の型抜きに挑戦してみたが、画鋲で一刺しした瞬間に割れてしまい、「嘘!」と思わず声に出してしまった。
その他にも、新大久保では常に行列の「チャジャン麺」を販売する専門店「香港飯店0410」も入っている。新大久保店は週末になると終日、韓国人や日本人で混み合っているが、今のところ原宿店は比較的すいている。つまり穴場だ。
新大久保に若者を奪われた渋谷区の逆襲
また、複数の即席韓国ラーメンをその場で購入して食べることができるのが「ハンガンラーメン」。袋に入ったラーメンを使い捨てのアルミ容器に入れてお湯をかけて食べるだけなのだが、こちらもSNSなどで若者の間で話題になることが多い。韓国では春から夏にかけて漢江付近の芝生で即席ラーメンを食べる風習がある。コロナ禍で韓国に行くことができない今だからこそ、ただの袋ラーメン(失礼!)にも需要が生まれているようだ。
もちろん、クロワッサンの生地でワッフルを作った「クロッフル」やキャラクターのマカロンなど、若者が好むインスタ映えするコンテンツも多く取り揃えられている。
こういった韓国系の店舗やスポットづくりは、若者を新大久保に奪われた渋谷区の奪還作戦なのだろうか。渋谷区に聞いてみると、「個人的に(コリアンタウン化している)竹下通りなど商店街の情報を把握している職員はいると思いますが、特に区として実態調査をしたり、具体的に商店街に対して働きかけなどはしておりません」(産業観光課)との回答だった。
原宿のコリアンタウン化は個々の店舗の努力が大きいようだが、“若者奪還作戦”はどこまで進むのだろうか。
(取材・文= アユム・ミレ/韓流ライター)