「自民党を叩き潰さなければ…」福田赳夫元首相秘書で党OBの中原義正氏が断言する理由

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「今の自民党はかつての自民党とは全く違う」「とりわけ清和会(清和政策研究会)を潰さない限り、日本の再生はない」ーー。こう怒りの声を上げるのが、福田赳夫元首相の秘書で、自民党本部情報局国際部主事を務めた経験を持つ中原義正氏(79)だ。

 清和会は福田元首相が立ち上げた最大派閥で、中原氏も裏方として「活動を取り仕切った」という。その党OBが「今の自民党が政治をダメにした」と言い、自身も関わった「清和会を潰せ」というのだから前代未聞だろう。あらためて中原氏に聞いた。

 ーー今の日本の政治状況をどう見ていますか。

 国の借金(長期債務残高)が1千兆円を超え、平均賃金はOECD(経済協力開発機構)の調査で加盟35か国中、22位と低位のまま。物価は上がり、年金受給額は減り続け、少子高齢化は進むばかり。どの経済指標の数値を見ても、日本の将来が立ち行かなくなるのは目に見えている。本来は政治が何とかしなければいけないのに、与野党問わず、どの政治家も私利私欲に走り、自分たちの懐を肥やし続けている。このままだと日本は滅びるのは間違いない。とても我慢ならないと思っている。

 ーー自民党OB、それも元首相秘書として今の党はどう映っていますか。

 かつての自民党と今の党は体質が全く違うと考えている。確かに昔の党も多少、きな臭い話があったが、それでも国家、国民のためを思って活動していた政治家ばかりだった。しかし、今の議員は自分の利益、利権のことしか考えていない。

「安倍晋三氏は中身が何もない」

 ーーとりわけ今の清和会は何がダメだと。

 福田元首相が立ち上げた清和会の精神というのは、「政治が清らかであれば国民も穏やかになる」「財政の健全化による国家運営を進める」だ。同じ派閥であっても、より良い政治を求めて、議員同士で喧々諤々の議論があった。それが今やどうか。国政選挙で平気でカネをばらまき、汚職と疑われても仕方がない議員ばかりだ。国会で嘘をつくのも当たり前。それなのに、内部から何の異論も出てこない。もはや無茶苦茶だ。かつて関わった者、関係者として責任を強く感じている。

 ーー清和会の今の長は安倍元首相ですね。

 私は父である晋太郎氏をよく知っているが、息子の晋三氏は中身が何もない。内政も外交も勉強していない。今のウクライナ紛争で、安倍元首相とロシアのプーチン大統領との関係があらためて取り沙汰されているが、おそらく安倍元首相はロシアの歴史や日ロ間のそれまでの協議など、基礎的な知識が何もなかったのだろう。だから、プーチン大統領に言われるままだった。いずれにしても、本来は政治家となるべき素養がない人物と言わざるを得ない。

 ーー自民党政治に代わる政治というのは。

 もう一度、健全な民主主義国家をつくるということだ。与野党の垣根を超えて、日本の将来像について真剣に考える。国民も今のように無関心ではいけない。繰り返すが、かつてと異なる今の自民党政治を叩き潰す必要があるだろう。

(聞き手=遠山嘉之/日刊ゲンダイ)

▽中原義正 神戸市外国語大学卒、自民党中央政治大学院修了。自民党機関誌「自由新報」記者や衆院議長を務めた星島二郎氏の秘書などを経て、1972年に福田赳夫元首相の秘書に。

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