奇病ウイルス「サル痘」が世界12カ国へ謎の感染拡大…“夏のワンナイトラブ”にご用心!
“奇病ウイルス”がジワジワと襲来中だ。アフリカを流行地域とする「サル痘」が欧米や中東に広がっている。
WHO(世界保健機関)は21日、「サル痘」患者が欧州と北米、オーストラリアの12カ国92人に拡大したと発表。感染疑いは28人だ。スイスとイスラエルの保健当局も同日、初めて患者を確認した。
「サル痘」の流行地域は通常、アフリカ中部や西部。WHOによると、昨年末から今月にかけ、コンゴ民主共和国で1238人が感染したほか、カメルーンで25人、ナイジェリアで46人の患者が確認されたという。
問題は、欧米などの患者の大半がアフリカに渡航歴がないにもかかわらず、感染例が続出する「極めて異常」(WHO)な事態になっていることだ。少なくとも患者6人を確認している米国は「現在報告されている症例数は、正常な水準を間違いなく逸脱している」(CDC=米疾病予防管理センター)と危機感を強めている。
「感染者数は少ないものの、アフリカの局地的な感染症が欧米を中心に広がったことで注目を集めています。WHOの報告によれば、症状は体に発疹ができるほか、頭痛や発熱、リンパ節の腫れなど一般的な感染症に似た症状で、天然痘よりは重症化リスクが低い。欧米での死亡例は報告されていません。中高年以上はサル痘にもかなり予防効果がある天然痘の予防接種で免疫力を多少保有していると考えられますが、天然痘の予防接種を受けていない40歳以下の若年層は免疫がないでしょう」(元WHO専門委員で「感染症予防BOOK」著者の左門新氏)
水際緩和の日本は「観光も平時を取り戻す」
ヒトからヒトへの感染リスクは低いが、ついハメを外したくなる夏場は要注意だ。実際、WHOのクルーゲ欧州地域事務局長は「多くの人が集まるイベントやパーティーなど夏を迎えるにあたり感染拡大を懸念している」などと指摘。同性同士の性交渉も含め、“濃厚接触”による感染が確認されているという。
「欧州では患者の大半が性交渉で感染したとみられますが、インフルエンザ対策のように一般的な感染症対策が奨励されます」(左門新氏)
折しも、岸田首相が「来月あたりから水際対策も観光も平時を取り戻す歩みを進めていきたい」と訪日客の受け入れに意欲を見せたタイミング。来月1日から1日当たりの入国者数上限を1万人から、2万人に引き上げる計画だ。奇病上陸が懸念される。
いくら発情しても、旅行者との「ワンナイトラブ」は控えた方が無難かもしれない。