1.4億円が海底に消えた…知床沈没船「KAZUⅠ」の再引き揚げ費用は誰が負担するのか?
やっと水深120メートルから引き揚げられた観光船は、一瞬にして再び182メートルの海底に沈んでしまった。
北海道斜里町沿岸部で水深の浅い海域を目指し、作業台船「海進」に曳航されていた観光船「KAZUⅠ」が、ウトロ港の西約11キロで落下した。カズワンは海面の下約20メートルまで吊り上げられた状態で、作業台船は船体を傷つけないよう時速0.7キロほどのスピードで斜里町沖合へ向かっていた。
24日、午前10時20分、専門業者「日本サルヴェージ」から第1管区海上保安本部(小樽市)に「カズワンを海底に落とした」と連絡があった。損傷具合は不明だが、カズワンは船底を下にした状態で原形をとどめているという。当初、24日夕には斜里港の北約7キロ沖合の停泊地点に到着して、作業台船の上に引き揚げられるはずだった。前日(23日)、調査開始から15日目、ようやく船体が吊り上げられたが、これで振り出しに戻った。
■すでに10億円以上の国費を投入
船体を吊り上げていたナイロン製の帯「スリング」5本のうち、2本が切れたことが落下原因とみられる。専門業者は曳航中、船体が作業台船に固定されているか目視していなかったようで、海上保安庁に「午前8時から10時のどこかで落下した。気づいた時にはカズワンの姿が見えなくなっていた」と説明している。10億円以上の公費をつぎ込みながら、「あまりにもズサンな扱いではないか」との声も上がっている。