(54)「朝日奨学会」が質問を無視したワケ 差別待遇問題も完全スルー
人手不足が深刻な都市部の朝日新聞販売所には、ベトナム人の新聞奨学生は欠かせない労働力だ。一方、ベトナム人奨学生たちを採用し、販売所へ斡旋している「朝日奨学会」にとっても、彼らは貴重な収入源である。
奨学会は「奨学会費」と称して毎月1万円をベトナム人らの給与から天引きしている。コロナ禍前には、ベトナム人だけで年300人の奨学生を受け入れていた。他国出身の奨学生を含めれば、奨学会には月1000万円程度の会費収入があったはずだ。年間では軽く1億円を超える。
ベトナム人奨学生の給与は手取りで月10万~12万円程度。月1万円の奨学会費は決して少なくないが、払っているからといって販売所との間で問題が起きても、手助けしてくれるわけではない。
しかも奨学会は、ベトナム人たちと労使協定すら結ばず会費を天引きしていた疑いがある。そうであれば、労働基準法に違反する行為だ。
「来日前は、留学生が週28時間までしか働けないとは知らなかった」
そう証言するベトナム人奨学生も多い。これが本当なら奨学会は、日本の法律で決められている就労制限について、何ら説明をしていなかったことになる。