前川喜平氏が明かす「統一教会」名称変更の裏側【後編】「語るに落ちる」下村博文氏 反論は肝心な部分の説明を避けている
役人限りではあり得ない 何らかの政治的圧力は間違いなくあった
文化庁が統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の名称変更を認証した2015年8月。第2次安倍政権下で、僕は文科次官に次ぐ文科審議官のポストに就いていました。
事前に担当課長の文化部宗務課長が説明に来たことは覚えています。「今まで申請を受理しない方針でやってきたのに、なぜ認証するのか」と聞いたはずなのですが、肝心の理由はよく覚えていない。やらざるを得ない事情があったはずです。
役所というものは町役場であっても中央省庁であっても、前例踏襲が基本的な考え方。よほど差し迫った理由がない限り、いったん決めた方針は容易に変更しない。統一教会の名称変更の認証は僕が宗務課長だった97年に断っている。それ以降、その方針を維持してきたはずなんです。役人限りだったら、そういう慣性の法則が働く。ですから、名称変更は何らかの政治的圧力がなければ絶対に起きないことです。政府あるいは自民党でしょう。公明党のはずはありませんし。自民党の政治家から出てきた話であることは間違いありません。
ーー当時、文科行政のトップだったのは自民党の下村博文文科相。清和会(安倍派)の重鎮で、文教族のボス格だ。下村氏は13日、《統一教会の名称変更について、SNSやネット上で私が文科大臣時代に関与し行ったとの書き込みが多くあり、また先日週刊誌からも同様の質問状を受け取りましたので、正確に回答申し上げます》とツイート。公開した回答(11日付)にはこう書かれている。
《文化庁によれば、「通常、名称変更については、書類が揃い、内容の確認が出来れば、事務的に承認を出す仕組みであり、大臣に伺いを立てることはしていない。今回の事例も最終決裁は、当時の文化部長であり、これは通常通りの手続きをしていた」とのことです》
少なくとも言えることは、下村さんが知らないはずがない。宗教法人の規則変更に関する認証の専決者は文化部長ですが、仮にボトムアップの決裁だとしても、これほど大きな方針転換について事前説明をしないのは考えられない。大臣まで必ず上げますよ。文化部長限りで判断できるような案件ではありませんから。