夢枕獏さんは「ペンか竿のどちらかをいつも握っている」と称されるほどの釣り好き

公開日: 更新日:

夢枕獏(作家)

 長編の名手として74歳の今でも旺盛に執筆を続ける夢枕獏氏。代表作の「キマイラ」シリーズは43年にも及ぶが、そのほか多数の連載も同時に抱えている。多忙極まる作家生活のなか、「ペンか竿のどちらかをいつも握っている」と称されるほどの釣り好きな氏に、その愛を聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 父に連れられて、物心つく前から釣り場に行っていました。最初に竿を握ったのは小2くらいかなあ。昭和30年代の小田原はまだ護岸工事もされていませんでしたから、その辺のつまらない川でも面白い魚がたくさん釣れたんですね。

 大人になってからも毎週のように釣りをしています。特に好きなのがアユ釣り。あの感覚はほかの魚では得られない。天気が悪かったりしてしばらく行けないようなもんなら、禁断症状が出て、仕事に手が付けられなくなってしまうんです(笑)。それでは困るので、仕事も釣りも同時にできる環境をつくってしまおうと、30年くらい前に岐阜に小さな小屋を建てました。電波も届かないので仕事に集中でき、近くにアユのよく釣れるきれいな川がある。最高の環境ですよ。

 釣りと小説はよく似ています。小説はもちろんフィクションですが、釣りもほとんど想像の世界の出来事だと思うんですよ。たとえば、「あっちで魚が跳ねた。そして川の流れがこうなっているから……」と想像して、計算のもとで実際に魚が釣れたとする。でも、その考えが果たして本当に正解だったのかは、魚に聞いてみないとわからないですよね。釣りの快感はやはりあの“ガツンッ”という手応え。それはつまり“想像が手触りに変わった瞬間”なのかもしれない。SFでも時代モノでも、やはりそんなガツンと手触りのある小説が面白いですよね。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    東大出身の小林政調会長は日本史を学ぶべき「2600年以上続く男系継承」は歴史なのか神話なのか…皇室典範改正で浮かんだ疑問

  2. 2

    北陸新幹線の延伸ルート「桂川案」に決定でも難航必至…問題解決の奇策「フリーゲージトレイン」の可能性を考えてみた

  3. 3

    暫定措置は7月で終了へ…「資格確認書」「マイナ保険証」迫るタイムリミットの対処法

  4. 4

    今も続く「皇室典範」は出来の悪い法律…男の側に不妊の原因を求める発想がなかった時代の産物だ

  5. 5

    Netflixで話題「古畑任三郎」 伝説の神回《動機の鑑定》に描かれる古美術界のリアリティーに迫る

  1. 6

    飛行機に乗ることが目的でいいのか? 『沸騰ワード』人気企画「マイル修行旅」に向けられる厳しい視線

  2. 7

    高市首相が今上陛下を「こんじょうへいか」と呼んだのは「不敬」なのか?

  3. 8

    「元祖」2店もタモリもマツコもバラバラ…シーズン到来の冷やし中華は具材もタレも我流がうまい

  4. 9

    司法試験へのパソコン導入で「変わること」「変わらないこと」

  5. 10

    オランダ訪問の晩餐会での天皇のスピーチと雅子皇后…"旧宮家"に求められる「皇室外交」と担い手の難しさ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希をヤンキースが強奪へ…大谷翔平&山本由伸を奪われた名門が企んだ雪辱戦

  2. 2

    ゾンビたばこ広島に黒田博樹監督待望論 「打てない、守れない、人気ない」三重苦で新井監督はクビ不可避

  3. 3

    佐々木朗希また抹消…中6日も守れない“ひ弱な怪物”をそれでも全30球団が欲しがったワケ

  4. 4

    「24時間テレビ」放送1カ月前に日テレ局内に流れる微妙な空気…猛暑の中の星野真里マラソンに大逆風

  5. 5

    小園はセーフ? 広島「矢野だけ抹消」にファン激怒! “ゾンビたばこ”騒動で不可解な線引き

  1. 6

    やっぱり副首都法案は「大阪ありき」“クセ強”野党議員の追及に維新まともに答えられずポンコツ露呈

  2. 7

    核議論に「タブーなく」で物議…小泉進次郎防衛相が“覚醒キャラ”で危険発言を連発する狙い

  3. 8

    高市首相が追い込まれ「陳述書」提出で墓穴…中傷動画&サナエトークン両疑惑が蒸し返される大誤算

  4. 9

    AKIRA版はなかったことに? 反町隆史GTO放送開始で荒ぶる「2012年派」

  5. 10

    内田有紀の「老眼鏡姿」に称賛の声 次は「グレーヘア」でさらなる進化の予感