ドアにくっつくハンコが「半年で3000個も売れた」理由 コロナ禍が生んだ新トレンド
朝の情報番組「ラヴィット!」(TBS系)や、バラエティー番組「VS魂」(フジテレビ系)などでトレンド商品として次々と取り上げられ、自社ECサイトのみでの販売にもかかわらず2021年10月の販売開始から、半年で約3000個が売れた「ドアPETAハンコ」が話題となっている。
リップスティックのようなスタイリッシュな見た目だが、強力磁石でドアなどに貼れるハンコで、マスクや鍵などを掛けるフックになるほか、メモなどを留めることもできる。実用性とデザイン性を兼ね備えた商品だ。
■開発から販売までわずか3カ月
コロナ禍の日常から生まれた新たなトレンド商品について、印友舎の原邦之さんに話を聞いた。
「弊社は郵便局や法務局関係などにハンコを製造・販売してきましたが、消費者向けの『BtoC』にも力を入れ、そのためにECサイトも必要だと考えていました。そのタイミングでコロナ禍によってリモートワークが中心となり、宅配便を受け取る機会も増えたことで、ついマスクを忘れて玄関に行ったり、逆にマスクに注力したことでハンコを忘れるということもあるなと気づき、身近なところで『こんな商品があったらどうか?』と聞いたら、好評だったこともあり、商品開発を進めることにしました」
元アパレル業界で商品開発をしていた経験から、おしゃれなハンコがないことにも気付いていたという原さん。化粧品のデザインも参考にしながら、マスクなどを掛けやすいように斜めのカットが上向きになるように工夫したり、転がらないように八角形にしたりと、生産工場と試行錯誤を繰り返した。
「アパレルにいた経験もあり、トレンドやニーズはとにかく移り変わりが早いと感じていました。ハンコは普通は1~2年をかけて商品開発し、販売に至りますが、ドアPETAハンコは開発から販売までわずか3カ月と、とにかくスピード感を大切にしました」
コロナ禍で消費者の価値観やニーズは、確かに目まぐるしく変わった。仮に半年、発売が遅れていたら売り上げも変わっていただろう。