弁護士事務所・調査員とは…裁判を勝訴に持ち込む「ネタ探し」が仕事
神奈川県下に住む60代後半の藤本順三さん(仮名)は名刺を持っていない。家族には、弁護士事務所でアルバイトをしていると伝えているが、藤本さん自身、その事務所をまだ一度も訪ねたことがないのだ。
仕事の打ち合わせは電話か、場所はもっぱら東京・八重洲地下街にある喫茶店。報酬は月平均30万円前後と悪くはない。支払いは銀行振り込みではなく、いつも現金手渡しである。弁護士は、雇用関係の証拠を残さないという配慮からだろう。
都心にある私立の大学を卒業後、いくつかの職業を変え、現在の職に就いたのがほぼ20年前。知人の新聞記者に紹介されたという。
藤本さんは、「マスコミのインタビューに応じるような職業ではありません。週刊誌のネタになるような話は随分と持っていますが、秘密です。もし、私が口を開いたことが弁護士に知れたら、その時点で弁護士との雇用関係は白紙になりますから」と語る。
一体どんな仕事をしているのか。
弁護士事務所は大手になるほど多くの刑事、民事の訴訟件数を抱えている。公判を優位に進行させながら、勝訴判決を得るのが弁護士の腕の見せどころだ。