「戦争と漫画 戦地の物語」山田英生編
「戦争と漫画 戦地の物語」山田英生編
戦争をテーマにした漫画を編んだアンソロジー。
武田一義氏の「ペリリュー─楽園のゲルニカ─」は、パラオ諸島の激戦地が舞台。補給を断たれ飢餓に苦しみながら敵の目を逃れ、さまよう一等兵・田丸らは、ようやく食料を見つけ安堵。だが、別の日本軍部隊に遭遇し、食料を巡り味方のはずの彼らから銃を向けられる。
ほかにも、兵隊を詰め込むだけ詰め込んだ輸送船に敵軍の魚雷が近づいてきたときの恐怖や従軍慰安婦について描いた水木しげる氏の「カランコロン漂泊記」をはじめ、漫画家になるきっかけとなった満州からの引き揚げ体験を描くちばてつや氏の「屋根うらの絵本かき」など。生々しい戦争の現実と、その現実を生きた人々の息遣いを描いた漫画家12人の作品を収録。
(筑摩書房 1034円)