藤倉善郎×鈴木エイト どうなる旧統一教会…宗教法人解散か延命か、他の団体への波及は?
安倍元首相銃撃事件は日本列島の隅々にまで激震を走らせた。青天の霹靂によって、反社会的な性質が再びあらわになった統一教会(現・世界平和統一家庭連合)は宗教法人の解散に追い込まれるのか。その流れは似たり寄ったりの集団に波及するのか。カルトをめぐる問題を粘り強く追及してきた「やや日刊カルト新聞」の2トップはどう見る?
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藤倉 臨時国会で成立したいわゆる「被害者救済新法」は物足りない内容でしたね。
エイト ドロボーがドロボーを規制する法律を作ったようなものですから。
藤倉 野党はマインドコントロール下にある人に対する勧誘行為を確実に規制できるよう「配慮義務」を禁止規定として明記するよう求めましたが、政府・与党にはね返された。ドロボーがドロボーに「配慮してね」じゃあねえ。ただ、スピード審議の中でも原案に多少は修正が加えられ、まとまったのは良かった。
エイト 統一教会問題は法整備で一件落着、自民党と教団の癒着の究明はなし崩しでオシマイ。これが政府・与党のシナリオでしょうが、そうさせるわけにはいかない。
■あちこちで妨害工作、宗務課の警戒
藤倉 次のフェーズは宗教法人格の剥奪。文化庁の宗務課には解散命令の請求までしっかり持っていってほしい。約20.5万人が賛同したオンライン署名を提出した時の宗務課長とのやりとりでは、「やるぞ」という雰囲気が感じられましたよね。
エイト 「ちゃんとやる」という意思は感じられました。今後の流れで言うと、宗教法人法に基づく質問権の再行使が12月14日になされ、回答期限は1月6日。教団が弁明する機会をそこで一区切りとするのなら、解散命令の請求は最短で1月末、あるいは2月あたり。宗務課は教団からの妨害を非常に警戒していてフロアマップの記載を消し、容易に担当者が分からないようにしています。
藤倉 統一教会もかなり抵抗するでしょう。オウム真理教の場合は解散命令の申し立てから確定まで7カ月でしたが、教団は最高裁に特別抗告して対抗した。
エイト 統一教会側が国や地方議会に嘆願書や陳情書を送り、「解散命令請求はしないでほしい」「私たちは反社会的団体ではない」などと訴えている。
藤倉 関係者とおぼしき人物が統一教会を批判的に報じるメディアを非難し、放送免許取り消しを求めるオンライン署名活動をやったり、テレビ局やコメンテーターを名誉毀損で提訴したり。