中島屋(大阪・鶴橋)父親に託された居酒屋は「追いトロ鉄火」が当たって大繁盛
病魔が見つかってわずか2カ月。すい臓がんで永眠した寿司職人は闘病中に妻ではなく、娘に遺言を残した。10年前のことだった。
「頼む。店をやってくれ。おまえが継いでくれ」
JR・近鉄・地下鉄の鶴橋駅から徒歩2分。居酒屋「中島屋」を営む中島美幸さんはそれを受けるしか道はなかった。父親の相棒だった母親にも「これからはあなたが店を続けてね」と頼まれ、親孝行のためと思った。
「不安だらけだったけど、もうやるしかないのかなと。私の旧姓は国貞。中島屋の孫と結婚した縁で父が店を任され、店名も『くにさだ』に変えてくれた。それまでは総菜やお寿司の持ち帰り専門店を営み、私も手伝っていたの。その時に父に教わった調理が役立ちました」