家庭向け電気料金が6月から値上げ…電気代節約に「太陽光発電」を考えてみる
今年の夏はエアコンの使用も躊躇しそう。大手電力7社の家庭向け電気料金が6月から値上げされる。標準的な家庭(30アンペア、月の使用量400キロワット時)の場合、値上げ申請前に比べて率にして14~42%、額では2000~5300円の負担増となる。これはもう庶民にとっての一大事。電気代の節約のためのロケットをもう一段噴射するしかない。
■早くも猛暑到来でエアコン代が心配
「エルニーニョ発生の予兆があり、今年の夏は例年以上に暑くなりそうです。しかも、湿り気のあるうっとうしい夏が予想されます」
お天気キャスターの森田正光さんがこう心配する。まだ5月だというのに岐阜県で35度以上の猛暑日を観測。都心でも気温が急上昇している。繰り返すが、季節はまだ新緑の葉が茂る5月だ。
なんだか先が思いやられるが、そんなタイミングで飛び込んできたのが家庭向け電気料金の値上げのニュース。特に北海道と沖縄に住んでいる人の負担は大きく、6月の値上げ後の料金は標準家庭で月2万円に迫る。東京電力管内の標準家庭も月1万6522円で、まさしくオイルショック以来の危機と言っていい。一応、政府は料金高騰への支援のため8月まで標準世帯に2800円(月に400キロワット時使用=1キロワット時につき7円)の補助金を出しているが、9月には半分に減らされ、それ以降の補助は未定。
■都は2025年度から太陽光を義務化
おいそれとエアコンのスイッチも入れられそうにないが、そこで考えてみたいのが「太陽光発電」だ。東京都の小池知事は、一戸建てを含む新築建物の屋根に太陽光パネルを設置することを義務化。2025年度に条例が施行される。その代わりと言っては何だが、補助金がベラボウに増えた。
5月29日から事前申し込みが始まる太陽光の補助額は、なんと最大で600万円(既存住宅)。新築の一戸建て住宅の場合は、3キロワットまで1キロワットにつき12万円(上限36万円)、3キロワット超は10万円(上限500万円)を補助。ただし、3~3.6キロワットは一律36万円となる。既存住宅はさらに補助額が大きく、3キロワット以下は15万円(上限45万円)、3キロワット超が12万円(50キロワット未満=上限600万円)、3~3.75キロワットは一律45万円だ。
「新築の一戸建て住宅に4キロワットの太陽光パネルを設置した場合、補助額は計40万円となります。平均的な設置費用が98万円ですので、自己負担は58万円ほど。電気代の削減や売電収入により、6年程度で回収が可能です」(東京都環境局)
この計算は値上がり前の電気料金が基になっているので、今ならもっとお得のはず。いずれにせよ、東京都は6年で元が取れるとしている。
■江戸川区はさらに30万円を上乗せ
さらに、東京都の他に区や市の補助を併用することも可能だ。
江戸川区は1キロワット当たり7万5000円(上限4キロワット=30万円)を補助している。
「もちろん、都との併用もできます。ただ、江戸川区では既存住宅という条件があり、新築一戸建ては対象外です」(江戸川区環境部気候変動適応計画課・担当者)
同じく八王子市は1キロワット当たり1万円(上限10万円)の補助だ。
「八王子市では太陽光発電システムを設置する個人と事業者に対して補助を行っています。都との併用も可能。予算がなくなり次第、終了します」(八王子市環境部環境政策課・担当者)
東京都は太陽光パネルへの補助のほかにも、「高断熱窓への改修」(1戸当たり上限100万円)、「高断熱ドアへの改修」(同16万円)、「蓄電池システムの設置」(同最大1500万円)など大盤振る舞い状態だ。
もっとも、太陽光発電にアレルギーを持っている人もいるだろう。
主な反対理由はパネルの廃棄や景観の問題だが、設置販売業者への不信感も根強い。そのため太陽光発電協会は「モニター制度を利用できる。あなただけの特別価格」「売電で毎月〇万円が確実に入ります」といった甘い言葉に注意を呼びかけ、必ず複数の業者から見積もりを取ることがトラブル回避の秘訣としている。