「生きることが難しい」不注意すぎる私の日常。PR案件の真偽や如何に。

公開日: 更新日:
コクハク

私の「不注意」はドジっ子のレベルを超える

 踊り子として全国各地の舞台に立つ新井見枝香さんの“こじらせ”エッセーです。いつでも、いついつまでも何かしら悩みは尽きないし、しんどいことだらけの日常ですが、生きていく強さを身に付けるヒントを共有できたらいいなという願いを込めまして――。

【「イキてく強さ」】

 ここ最近、「どうして私ってこうなんだろう…」と、自分の不注意に嫌気が差すことばかりが続いている。

 玄関の電球が切れたので急いで買ってきたら、うずら卵と鶏卵くらいサイズが違う。なぜ確認してから買いに行かないのか。自分が出演するイベントをSNSで告知したら日付けも曜日も間違える。素麺を茹でたら束ねる紙を外し忘れて鍋の中でしめ縄が出来上がる。釣り竿を振りかぶったら後ろのフェンスに引っかかって尻もちをつく。

 かわいいドジっ子のレベルを遥かに超えて、生きることが難しい。

【こちらもどうぞ】電マの営業からラブホの清掃員へ…羞恥心とも戦うストリッパーが思うこと

 先日も、自分で時間指定をした宅急便が届くことをすっかり忘れて、近所に昼飯を食べに出掛けてしまった。それを思い出したのは、スマホにメールが届いたからだ。

 差出人の名は大手宅急便会社で、配送方法の確認である。食べたらすぐに戻るから、今日は置き配にしてもらおう。実はこういったミスは初めてではない。また〇〇号室の新井は時間指定したくせに不在かよ、と宅急便屋さんに言われてしまう。慌ててメール内のリンクを押そうとして、違和感に気付いた。いつもこんなメールが届いただろうか。

 差出人のアドレスを確認すると、ドメインが会社の名前ではない。もしや迷惑メールか。タイミングが良すぎて危うく騙されそうになったが、冷静になれば胡散臭さ極まりない。帰ったら案の定、おなじみの不在連絡票が入っていたので、平身低頭、再配達を依頼した。

壊れる家電、トラブルは連鎖する

 そんなここ最近、様々なトラブルも続いている。唐突に電子レンジが動かなくなり、掃除機、電気ケトルも故障した。その上、大事にしていたヘッドホンまで調子が悪い。そんな時にSNSのアカウント宛てにダイレクトメッセージが届いたのだ。

 とある外資系メーカーを名乗る担当者から、新製品電化製品のモニターをしませんか、と。まるで私の状況を察したかのようなタイミングである。iPhoneが私の心の声を届けてくれたのかもしれない。

魅惑のPR案件

 普段はスルーする見知らぬ人からのメッセージだが、つい興味を示すと、すぐに製品の詳細とモニター条件が送られてきた。それを使用する動画を撮影し、SNSに投稿する必要があるらしい。つまりPR案件だ。

 私はかつて同様の流れで、あるお酒のモニターを引き受けたことがあったが、それが残念なことに全く口に合わず、晩酌風景にちらりと写り込ませて投稿するくらいのことしかできなかった。美味いとも不味いとも明言していないから嘘は吐いていないし、義理は果たした(と思っている)。

 先方もそれ以上は何も言ってこなかったので、もし気に入ったら口コミで広めて欲しい、くらいの気持ちだったのだろう。

「どうしてこんなに不注意なのでしょうか?」

 しかし今回の案件は、動画を作って投稿することに対し、報酬が発生する。金銭のやり取りがあることだから、事前に契約書を交わす必要があった。しかし、まずフォームに個人情報を入力して登録、という段階で、なぜかエラーが発生してしまう。

 お得意の入力ミスをやらかしたらしい。修正ができず、登録へ進めなくなってしまった。その件を先方に伝えると、帰って来た返事がこれだ。

「どうしてこんなに不注意なのでしょうか。」

 それは私が聞きたい。どうしてこんなにダメな人間なんだろう、私は。あまりにも的を射た突っ込みに、とどめを刺されたイカのごとく、頭が真っ白になる。しかし待てよ、仰っていることはごもっともだが、昨日今日やり取りを始めた企業側の人間が言うことだろうか。

 その後、今度は情報を登録するためのサイトの担当者を名乗る人から、私のミスにより不審な登録と判断されてしまったため、その凍結を解除するために、個人確認が確認できる書類と、認証金の振り込みが必要、と連絡があった。

 入力ミスだけで、そんな大事になるだろうか。認証金は報酬とともに払い戻されるというが、万単位である。もしやこれ、何かの詐欺ではなかろうか。

「本当に必要なのですか?」と不信感をあらわにすると、あなたごときの少額な案件でサイトの信用を失うなんて馬鹿げたことするわけねーだろバカ、みたいなことをちょこっと丁寧にした感じで返信があり、もう私は世界中にバカにされる、能力の低い人間のような気がしてきた。なんなんだもう。

私は騙されているのだろうか

 ドリフターズのコントで、仲本工事といかりや長介が演じる、仲のいいバカ兄弟がドア越しに本人確認をするコントを思い出す。

「本当に俺のあんちゃんか?」「そうだよ」私は騙されているのだろうか。「山」と言ったら「川」と答えるくらいわかりやすい確認方法があればよいのだが。

 近日中、私のSNSに素敵な電化製品が登場したら、ノックしたのは本物のあんちゃんだったと思ってください。

(新井見枝香/元書店員・エッセイスト・踊り子)

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    桑田佳祐も呆れた行状を知っていた? 思い出されるトラブルメーカーぶりと“長渕ソング騒動”

  2. 2

    長嶋一茂の「ハワイで長期バカンス&番組欠席」に大ヒンシュク !テレ朝局内でも“不要論”が…

  3. 3

    長渕剛に醜聞ハラスメント疑惑ラッシュのウラ…化けの皮が剥がれた“ハダカの王様”の断末魔

  4. 4

    「俺は帰る!」長嶋一茂“王様気取り”にテレビ業界から呆れ声…“親の七光だけで中身ナシ”の末路

  5. 5

    正捕手・甲斐拓也の骨折離脱が巨人に「プラス」の根拠とは???

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    異常すぎる兵庫県政…中学生記者が初めて出席した定例会見での斎藤元彦知事には、表情がなかった

  3. 8

    元女優にはいまだ謝罪なし…トラブル「完全否定」からの好感度アップ図る長渕剛のイメチェンSNS

  4. 9

    キャッスルで結婚式を挙げるはずが…「派閥の親分」の一言で断念、ヒルトンになった

  5. 10

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ