伊東市長は大騒動だが…一般人が経歴や資格を“盛った”場合、どこから罪になる?
伊東市の田久保真紀市長をめぐり、大学「卒業」ではなく、実は「除籍」だったと報じられた問題は百条委員会での検証が続いています。政治の世界では虚偽事項の公表罪(公職選挙法235条)は問題になり得ますが、一般の人が就職や転職で経歴を“盛る”とどうなるのでしょうか。
結論からいえば、単なる虚偽申告それ自体は直ちに犯罪とは限りません。しかし、虚偽申告をして相手を誤信させ手当の支給などを受ければ、詐欺罪が問題になります。必須資格を取得していると偽って入社し、資格手当を受け取るといった場合が典型例です。
また書類の偽造に踏み込むと一気に刑事リスクが上がります。履歴書の自己PR欄を誇張して書いたような場合は文書偽造に当たる可能性は低いといえますが、卒業証明書や資格証明書の偽造・改ざんを行った場合には、有印私文書偽造・同行使罪に当たり得ます。画像編集で証明書を作る、PDFを改変するといった手口も同様です。
“盛る”場合に限らず、例えば前科があるのに、申告しなかった場合はどうでしょうか。一般に、前科の有無を偽ること自体は直ちに犯罪ではありませんが、欠格事由がある業務、例えば、警備・運送業やそのほか免許が必要な職でそれを隠して就業し報酬を得れば、上記のように、詐欺や文書偽造の観点から問題となり得ます。さらに、欠格事由を隠して許認可や免許を取得した場合は、各種の業法違反や行政処分に問われる可能性があります。