図鑑カフェfumikura(桜台)店主は筋金入りの図鑑愛好者で地理学科出身
千川通りに面し、外から幾分かの本は見えるが、美容院? と通り過ぎる人がいると思う。私もそうだったから。惜しいことを!
店名のfumikuraとは、大和言葉の「文庫」のことだそう。「今日はどれを読もうかな、と気楽にのぞきにきてください」と店主・井守正暁さん(49)が言う。
「図鑑」の古本、2500冊がよりどりみどり。購入OK。2016年から営業する、40平方メートル19席のブックカフェなのだ。
なぜ図鑑をフィーチャー?
「以前、家業を継いでFC弁当店をやっていたとき、いつも疲れて、図鑑を読みながら寝落ちしていたんです。どのページからでも開けるから」
そもそも筋金入りの図鑑愛好者で、地理学科出身。最初の就職先が神保町の「書泉」だったことや、司書、学芸員の勉強経験があり、社会教育活動に気持ちが向いていることとも無縁ではなさそう。
「若い頃、私の家を図書館代わりにし、本を読んで酒飲んで、まったりする友達が多かった……」
この店は、そんな桃源郷の再来なのだ──とは私のひとり言。
店内には、木の作り付けの棚があり、大きささまざまな本がワチャワチャと。面陳列の「開運!神社めぐり」「花材事典」「百学連環」が目に入り、図鑑カテゴリーは広いんだなと。
好奇心がつながっていく工夫が…
「パッと開いたところだけ見ても面白く、知識のつまみ食いができる本を図鑑とくくっています。面陳列の1冊から右に左に深まっていく並べ方で」と聞いて、もう一度棚をしっかり見ると、合点。
「ワケありな国境」の右手に「日本の苗字ベスト30000」、左手に「アメリカにあった伊能大図とフランスの伊能中図」あり。「世界の路地裏100」の右手に「世界言語文化図鑑」、左手に「軍艦島の生活」あり。好奇心がつながっていく工夫がなされている。しかも、「古書店で苦労して集め、全部読んで、レファレンスできる知識を得てからしか並べません」って、すごい!
「この本、もう5、6冊、売れましたよ」と井守さんが棚から取ったのが「動物絵あそび」。簡単な線による動物略絵の数々が載っている。
「詳細を描いてから因数分解し最大公約数を描いていますよね。いろいろな発想のヒントに……」
見るもの、聞くこと全てが刺さる。コーヒーをいただき、長居しちゃいました。
◆練馬区桜台1-4-7 仙川ビル1階/℡03-6914-5886/西武池袋線桜台駅から徒歩1分/午前11時~午後10時(飲食ラストオーダー9時)、火曜休み
ウチらしい本
「ビジュアル博物館 第31巻探検」ルパート・マシューズ著、ロンドン国立海事博物館監修
「店をしようと思ったときからずっと頭にあったのが、『ビジュアル博物館』の一冊であるこの本です。1980年代から出版されているシリーズで、この『探検』の巻は1992年刊。項目は、『古代エジプトの探検隊』『シルクロード』『航海用具』『北極』『南極』『深海を探る』……。最古の探検から現代の人工衛星まで、“探検をめぐる物語”が見事に詰まっていて、手に取るとワクワクすること必至です」
同朋舎出版(KADOKAWA発売)古本販売価格2850円